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【特集】なぜ?女性が地方を去る理由 「仕事」「古い男女観」“本音”を取材しSNSで発信…広がる共感 山梨県

2024年9月5日 6:00
【特集】なぜ?女性が地方を去る理由 「仕事」「古い男女観」“本音”を取材しSNSで発信…広がる共感 山梨県

 去年6月に「人口減少危機突破宣言」を出すなど、人口の減少に歯止めがかからない山梨県。特に若い女性の県外流出は深刻です。地方からの女性流出はなぜ止まらないのかー。当事者の声を取材してSNSで発信しようと奮闘する山梨県出身の女性に、彼女たちが抱える本音などを聞きました。

YouTubeチャンネル「地方女子プロジェクト」より
山梨出身・東京在住 20代大学生
「よく無尽で家で飲んでて、それが面倒くさい!近所の人がみんな来て、おばあちゃんが全員分のお酒を用意する姿を見て育った。うわさ話とか面倒くさいことがなくなればなって思います」

山梨出身 ・東京在住 20代会社員
「漠然と戻りたいって思いはあるけど、仕事がね…」

 生まれ育った『地元』について、赤裸々に語る女性たち。

 彼女たちの声をSNSで社会に発信しているのが、山梨県出身のWEBディレクター、山本蓮さん(24)です。

WEBディレクター 山本蓮さん
「若者の地方から首都圏への転出率が、女性のほうが多いって言われていて。それがなぜかという課題の分析がされていないと思ったので、まず自分で当事者にインタビューしてみて、それを発信しようという活動を始めました。みんな複雑な思いを抱えているということが分かって、そういう複雑さは映像が一番伝えやすいかなと思って(動画配信を)選びました」

 山本さんは今年1月、「地方女子プロジェクト」と銘打った動画配信をスタート。きっかけは自身の就職活動でした。

WEBディレクター 山本蓮さん
「山梨と東京のどっちでも就活していたんですけど、山梨の企業のほうが“あからさまな差別”があるなというか。『女性の社員がうちはいないけど、やっていけますか?』と聞かれたり。男性と女性で仕事が違うとか」
 

 21世紀になり、20年以上経てもなお残る「昔ながら」の男女観。悔しさを感じる一方で「地方女子」が抱える鬱屈した現状が見えてきました。

WEBディレクター 山本蓮さん
「地方から女性が流出しているというデータを見つけたときに、そういう思いをした人が私以外にもいるんじゃないかと思って(動画配信を)始めました」

 現在、「地方女子プロジェクト」の動画配信は全国各地にいる5人の協力者と共に運営していますが、取材を行うのは山本さんのみ。なぜ“彼女たち”は生まれ育った「地元」を去っていくのか?山本さんは、その理由を丹念に聞き出します。

WEBディレクター 山本蓮さん
「1つはやっぱり仕事がないとか給料が低いという声と、2つ目は帰省するたびに『結婚はいつなのか』とか、『いつ子どもを生むの』と言われるのが嫌だなと感じる人が多い。地域の行事とかで“女性の役割”をいつか自分がやらされる、やらなきゃいけないのかなと感じる人は多いという話を聞いている」

 女性の生き方や価値観は、「少子化」や「人口減」という地方が抱える問題の根幹に大きく関わらざるを得ません。動画配信の開始から約半年。女性たちの心の奥底を可視化したことで、共感の声が全国から寄せられています。

山本さんの取材を受けた30代女性
「(山本さんの)記事をたまたまSNSで拝見して、もしお会いできるのであれば話をしてみたいと思って。ちょっとしたことがきっかけで連絡した。1人ひとりが持っているストーリーや背景、感じていることとかは人を動かす力があるのかなと思うので。共感して関心を持ってくれる人はいるだろうなと思うので、すごくいい取り組みだなと」

 動画配信と平行して、山本さんが新たに取り組み始めたことがあります。それは男女共同参画を学ぶ学生との交流です。

WEBディレクター 山本蓮さん
「ジェンダーの問題に対して行動を起こそうとか、何かを変えようと動いている人はそんなに多くない。若い人がそういうのに取り組んでいくというのはすごい大切なことだし、一緒にやっていきたいという気持ちがあって、私も何かできることがあればと思って」

 わずかでも「意識する」こと「知ろうとする」こと。多くの人の声を聞き学んできたからこそ、今伝えたい問いがあります。

WEBディレクター 山本蓮さん
「(地方から)出て行ってしまう女性個人の問題というよりは、その女性を取り巻く環境の問題だなと思っているので、そこを問い直したいなと思って。(そういうことを)まず話せる場所というのがなかったと思って、座談会ツアーみたいな全国を周ったりしたいし。やっぱりこの事実や傾向を、地域のことを取りまとめる人に知ってもらう活動はしていきたいなと思っています」

 誰もが生きやすい世の中へー。山本さんはこれからも、1人ひとりの声に向き合っていきます。

(YBSワイドニュース 2024年8月28日放送)

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