【特集】「活躍の場を当たり前に」アートで広げる障害者の選択肢 B型事業所「anko」が描く未来
アートを通じて障害者が当たり前に活躍できる。そんな場所を目指している就労継続支援B型事業所が甲府市にあります。創作の現場を取材しました。
甲府市徳行に開所した就労継続支援B型事業所「anko」です。
絵を描いたり、フェルトでブローチを作ったり。
利用者が思い思いに作業に取り組んでいます。
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「今は午後の創作の時間で、みんなそれぞれ好きな作品を仕上げている」
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「どうやったらより多くの方に見てもらえるか考えて、ものによっては商品になったり額装してアート作品になったり」
就労継続支援B型事業所は障害などの理由で一般企業で働くことが難しい人に、働く機会を提供する施設です。
県内には150カ所あり、「anko」もその一つ。
絵画や手芸、造形など、利用者の個性や興味を生かした運営に取り組んでいます。
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「一般の人も一緒だと思っているが特技があるのであれば、それでお金を得られるのは当たり前だと思う」
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「そういった当たり前の生活が少しでも、ここに来てできるといいなと思っている」
「anko」の運営母体は広告デザインや編集を手がける会社「anlib」です。
福祉に関するフリーマガジンを発行し、取材を通じて多くの関係者と出会ったことが事業所の立ち上げにつながりました。
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「ずっとデザインの仕事をしてきたこともあって、アートがわたしたちの暮らしに影響を与えることはわたし自身が分かっていたので」
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「アートは一番壁を感じずに、いろいろな方に福祉分野を知ってもらうきっかけづくりになると思った」
デザイン会社の強みを生かし、障害者のアート作品を企業や飲食店に貸し出す事業に取り組んでいるほか、広告デザインの依頼にも提案して好評だといいます。
利用者の男性
「完成!」
障害がある人の作品を仲介するだけでなく、外部との接点が増えれば互いの理解が進み、きっと利用者の笑顔も増えると考えました。
利用者の女性
「高校の時から絵で仕事をしたいなと思っていたけど(こういう仕事は)ないと思っていたから、あると思った時に『楽しそう』と思ってすごくうれしかった」
利用者の女性
「(家で)ひとりでやっているとなかなか集中力が続かなかったりとか面倒くさいなと思ったりするけど、ここだとちゃんと作業みたいな仕事になるから、いい作品がいっぱい描ける」
絵を描くのが苦手でも手芸でパーツを作ったり、作品を商品化するアイデアを考えたり。
一人ひとりの「得意なこと」を生かして、仕事を生み出します。
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「単純に『絵を買ってほしい』とか『アートを知ってほしい』とかではなくて、あくまでもツールの一つであって」
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「障害者アートを通じて町の風景が変わったり、 障害者の活躍する場がもっと当たり前にいろいろなところにあふれていて」
就労継続支援B型事業所「anko」堀内麻実 代表
「発言の場があって、こういうことがもっと増えてくると地域はもっと面白くなるかなと感じている」
アートを通じて生きること、働くことと向きあい、社会で活躍する選択肢を広げていく。それが「anko」が思い描く、未来です。