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予算案“未明”の衆院通過 民主党に何が…

2011年3月1日 20:39
予算案“未明”の衆院通過 民主党に何が…

 さあ、先月23日の党首討論では注目の議論がありました!自民党・谷垣総裁は「解散して国民の声を聞くべきだ!」とあくまで解散を主張します。それに対し菅首相は「解散することが国民の皆さんにとってプラスになると思ってるんですか!」と応戦します。いったいコレ何?(…って、この文章だけを見ていても何のことかわかりませんよね。今回のコーナーでは記者会見に持ち込まれた菅首相、谷垣総裁の“そっくりさん人形”を取り上げています。2つの人形が党首討論??以下、想像しながらお楽しみください)。…これは何なのでしょう!?誰のしわざかと思ったら、あっ、やっぱり自民党・山本一太参院政審会長!今度は人形劇ですか?!山本さんと言えば最近は紙芝居会見でおなじみ(?)ですが、しばらくこのコーナーで会見を取り上げてなかったら、いつのまにかバージョンアップ!してました。「群馬県こけし協同組合が、総力をかけて作って、一応ここにバッジなんかあったりしてね」-とうれしそうにコメントする山本さん。そう、この“そっくりさん人形”は地元の名産の「こけし」だったんです。アピールがお上手です。

 さて、あらためて、党首討論ではこんな注目のやりとりがありました。谷垣氏が「きちっと予算の組み替え案を出したいと思います」と発言すると、菅首相は「自民党が出した予算の組み替えの方が、私たちにすばらしいと言って丸のみできるような案をぜひ、出していただきたい。期待をして待っております」と応酬。なるほど、それでは、その自民党案を見てみましょう!
子ども手当 1兆2800億円
農家への個別所得補償 3500億円
高校無償化 3900億円
高速道路無料化 1200億円
自民党はこれを「バラマキ4K」と命名。
自民党案ではこれらを撤回して、まず2兆6800億円を削減するって言ってるんです。しかし、ちょっと待って下さい!この「バラマキ4K」って民主党の看板政策ばっかりじゃないですか。谷垣氏は会見で説明します。「民主党が到底、のめる案ではない」-えー、のめる案じゃないの?

 そんな民主党の看板政策の1つに驚きの事実が発覚しました!24日の衆議院本会議で、国会では「子ども手当法案」が審議入りしたのですが、この際の質疑で社民党・阿部知子議員は「首相として現実の財政状況の中で民主党の掲げる満額2万6000円の給付は当面不可能であることを説明するべき」とただしたのに対し、菅首相が驚きの答弁です。「私もこの議論がなされているちょうど小沢代表の当時、この2万6000円ということを聞いたとき一瞬ちょっとびっくりしたことを覚えています」-えーっ?そうなのぉーっ?!小沢さんが代表だった時の話で、しかも「びっくりした」では、まるで他人事(ひとごと)です。本会議場内でも「えーっ?」とのヤジが飛び交いました。
さて、翌25日、この件について与謝野経財相は閣議後の会見で「びっくり」発言について聞かれました。すると与謝野経財相は「非常に正直で立派なことだと思います。(菅首相が)そうおっしゃるのは」…ですって!褒めてるんだか、けなしてるんだか…?

 党内のごたごたはまだ続きます。この日の代議士会でやり玉にあがったのは民主党が政策をアピールするために作成したビラです。ビラの中の漫画の主役は首相夫人の菅伸子さん。ところが、大谷啓議員は「(ビラで)菅伸子さんを使っている。我々は菅伸子さんを広告塔にするということを決めた覚えはありませんし、ある種、有権者を逆なでするんじゃないかと思います」と批判です。ビラを作成した責任者が「活用してほしい」と説明しますが、代議士会の会場は激しいヤジの応酬に…。すると、おーっと!ついに岡田幹事長が、立ち上がったではありませんか!岡田幹事長が語気を強めます。「ちょっと、今しゃべったヤツ立ってください!」と、ヤジを繰り返していた議員を立たせます。岡田幹事長が続けます。「もう少し言い方を気をつけたらどうかね。仲間の議員が説明している時に、その言い方があるのかね!ちょっと来て、ここで言いなさいよ。言いたければ。」…その後、立たされた議員はマイクの前でそれぞれの言い分を説明。その場は丸く収まりました。ビシっとまとめた岡田幹事長。…党内、いつもこんな風にまとまればいいんですが…。

 民主党内の“ヤジ合戦”は先月25日の神奈川県連の会合でも繰り広げられました。岡田幹事長が挨拶に立っていると「マニフェスト守れよ!」「原点に帰れよ!原点に帰れって言ってるだろ!」と、痛烈なヤジが飛び交います。地方からはもっと厳しい批判が浴びせられている状況です。ところが…おっ?ここでも岡田幹事長、ビシーッと言い切りました。「誰が見てもできないことを、いつまでもできる、できるというのは、まさしく私は国民に対する不正直だと思います!そうは思いませんか、皆さん!!」-会場内のマニフェストの原点回帰論にビシッと反論した形でした。ところが、先月28日の衆議院予算委員会で小泉進次郎議員は早速、この岡田幹事長の発言をとらえて菅首相を追及しました。「(岡田幹事長は)『誰が見ても出来ないことをいつまでも出来るというのは不正直だ』(と発言した)。菅首相は同じ認識ですか?」これに対して菅首相は「少なくとも検証するという方向と一致した趣旨(の発言)ではないかと思っています」と、苦しい答弁です。さらに小泉議員は「国民が民主党の政治に対して不信感を持っているのはなぜだと思いますか」と、畳みかけるように追及。すると、菅首相は「短期間で答えが出ないことはたくさんあるわけです。確かに期待したのにまだ出来てないじゃないかとか色んなことはあると思います。4年間で見てほしいというのが私の答えです」と答弁。国民に理解を求めるのでありました。

 国民に約束したマニフェスト。結果はまだだから、もう少し待ってほしいという菅首相。結果はもう見えたから解散しろという野党。両者がそれぞれの主張を一切譲ることのないまま、予算案は衆議院本会議で採決されることになりました。あらあら、会派離脱を表明した民主党の16人の議員は欠席してますよ。そして可決、衆院通過~。火種を残したまま、論戦は参議院に舞台を移します。