年金の特例水準「来年度から解消を」仕分け
国の重要政策の問題点について改革の方向性を提言する「提言型政策仕分け」は最終日の23日、年金など社会保障問題について議論が行われた。また、その後に開かれた担当閣僚による議論で、小宮山厚労相が提言を実行に移す意向を示した。
年金の議論では、若い世代の負担を増やさずに制度を維持していくため、どうしていくべきか意見が交わされた。
仕分け人「若い人たちから見れば、自分の給料が下がっている、物価が下がっているにもかかわらず、高齢者の年金給付はそれほど下がっていないと。(厚労省の年金部会では)表だって積極的に掘り下げて議論しないんでしょうか」
厚労省側「様々な項目というのをですね、年金部会の中でご議論していただいている」
仕分け人「今のご答弁、非常に若い人が聞くと驚くと思うんですよ。支給開始年齢を引き上げる前にやることがいっぱいあるんじゃないかと」
議論の結果、過去に物価が下がった時に法律に特例を設けて年金支給額を下げなかったことが問題だったとして「年金の特例水準を来年度から速やかに解消していくべき」と、本来あるべき年金の額に引き下げるよう提言された。
また、その後に開かれた担当閣僚による議論で、小宮山厚労相が提言を実行に移す意向を示した。
小宮山厚労相「特例(水準)の部分を来年度からやれという話は、私もその通りだと思っております。こことここはやるということは、きちんとやらなければ財源は出てこないと思う。皆さまのご意見をしっかりと受け止めたいと思っている」
蓮舫行政刷新相「給付を下げるか、保険料を上げるか、さらに借金をするかと、こういう議論をしていたんですが、あえて提言型政策仕分けでは、公開の場所で皆さんと共有したかったのは、その前にやることがあるんじゃないですかと。制度の原則論に戻ると。残念だったのは、小宮山厚労相がいるからあえて言いますけど、厚労省側の説明者に当事者能力が非常に薄い!」
一方、基礎年金や最低賃金の額を上回るケースもあると指摘された生活保護の支給額については、「基礎年金や最低賃金とのバランスを考慮し、就労意欲をそがない水準にすべき」として、実質的な引き下げを提言した。
今回の仕分けで出た提言の中には、民主党内で慎重論が根強いものが少なくない。野田首相は「提言の実現に向け、政府全体で取り組む」と強調しており、今後、スピード感をもって実行に移せるか内閣の責任が問われることになる。