TPP交渉参加へ「早い段階で決断したい」
日本時間23日未明に行われた日米首脳会談で最大の焦点は、TPP(=環太平洋経済連携協定)の交渉参加について、安倍首相がオバマ大統領から「聖域なき関税撤廃」が交渉参加の前提となるかどうかの感触を引き出すことだった。首脳会談の後に記者会見した安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明らかになった」として、「なるべく早い段階で決断したい」と述べた。安倍首相の周辺は「かなり踏み込んだ」と話しており、事実上の交渉参加を表明した形となった。
国論が二分しているTPP交渉参加について、安倍首相は週明けから与党内の調整に入り、一任を取りつけた上で、早期に決断したい考えを表明した。
安倍首相「最終的な結果は交渉の中で決まっていくものであり、TPP交渉参加に先立って一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束をすることを求められていないことも、今回の会談でオバマ大統領との間で確認をした。そのような大統領との議論をふまえ、私は聖域なき関税撤廃が前提でないとの認識に立ちました。時期については、なるべく早い段階で決断したい」
安倍首相は帰国後、自民党役員会で報告し、交渉に参加するかどうかの判断は、専権事項として政府に一任を取りつけたい考えも示した。
これまで、TPP参加交渉では例外は認められないとしてきたアメリカ側から一定の歩み寄りを引き出したことで、安倍首相は交渉参加に踏み出したい考えを強くにじませた。
しかし、一方で、TPP慎重派の議員連盟には200人以上が名前を連ねるなど自民党内の反対論も根強く、早い段階で決断できるかは、なお予断を許さない。帰国後、TPP交渉参加慎重論を抑えられるかどうか、まさに安倍首相のリーダーシップが問われることになりそうだ。