立候補に“年齢の壁”若い世代も政治参加を…立ち上がった高校生を取材
日本では公職の選挙に18歳から投票できる一方で、立候補できる年齢は最も若くて25歳。若い世代が立候補できない現実を変えようと高校生らが立ち上がりました。
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私たちが出会ったのは高校3年生の宮田香乃さん(17)。
宮田香乃さん「今年の春まで着ていた制服。通信(高校)に転校して着なくなった」
通っていた公立高校で教育のあり方に疑問を抱き、通信制の高校に転校しました。
宮田香乃さん「教育が変わっていないのは、意思決定の場にいる人たちが上の世代の人たちで、私たちのことをわかってくれる人がいないんじゃないか」
政策決定の場に当事者である“若い世代”がいないと教育は変わらない。そう感じた宮田さんは知事や議員に立候補できる年齢の引き下げを目指し活動しています。
日本の法律では、選挙で投票できる年齢は18歳以上。その一方で、衆議院議員や地方議員、市区町村長に立候補できる年齢は25歳以上、参議院議員や都道府県知事への立候補は30歳以上と定められています。立候補できる年齢は、70年以上も変わらないままなのです。
17歳の宮田さんは来年から投票できますが…。
宮田香乃さん「選ばれる人たちが自分と(年が)すごく離れていて、誰に投票したらいいのかよくわからない」
そんな思いから、引き下げを実現させるための活動に励んでいます。
宮田さんは今年6月、国に引き下げを求める裁判の傍聴に。
原告のひとりで若者の政治参加を促す活動を行う能條桃子さん(26)。去年の神奈川県知事選に立候補を届け出たものの“年齢の壁”で受け付けてもらえなかった当事者です。
能條桃子さん「差別されてるなと、不受理になったとき思ったんですよね」
弁護団と共に、“若者差別”ではないか、と訴えています。
戸田善恭弁護士「若い人たちは能力がないとか、思慮分別がないという理由で立候補できる年齢というのを高く設定されている」「立候補の自由というのは、国民主権のベースになる大事な参政権のうちのひとつだから、何となく合理性がある・ないといったような議論で、若い人たちから立候補の自由を剥奪するのはおかしい」
「18歳から立候補ができない理由について国は十分な説明をしていない」と訴えます。
今、国会議員の平均年齢は58歳、町村議会議員はなんと64歳です。議員の平均年齢から40歳以上も離れている宮田さんは…。
宮田香乃さん「自分と同じ年くらいの人が政治家になったら、今の私たちの世代の声を代弁してくれると思うから、まずは政治への関心が変わるなと思って」
実際に、イギリスでは2006年に下院で立候補できる年齢が18歳に引き下げられると、24歳以下の投票率が25ポイント以上、上がったといいます。
宮田さんはさらに、政治家にも直接思いを訴えるため国会へ。
宮田香乃さん「立候補できる権利を得られたら若者の関心も政治に向くんじゃないかって」
与野党の幹部に申し入れをしました。しかし、与党内からは「引き下げたところで立候補する若者はいないのでは」「引き下げをする確固たる動機がない」などの声が上がっていて、変化の兆しが見えないのも現実です。“若い世代の思い”は国に届くのか、これからの議論が注目されます。