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安倍首相の「地球儀俯瞰外交」その成果は?

2014年1月14日 22:21

 先週から中東・アフリカの4か国の訪問を続けている安倍首相は、最後の訪問先となるエチオピアにいる。このニュースで注目すべきなのは、安倍首相の「地球儀を俯瞰(ふかん)する戦略的な外交」という発言。安倍首相は就任当時からこのフレーズを掲げているが、成果は出ているのだろうか。

 柔道着に身を包んだ子供たちとハイタッチし、笑顔を見せる安倍首相。11日に西アフリカのコートジボワールで開かれた柔道「安倍杯」での一コマだ。

 一方、エチオピアでは13日、1964年の東京オリンピック・男子マラソンの金メダリストであるアベベ選手の家族と面会した。

 安倍首相「私の名前が安倍という名前で、学校でみんなから『アベベ』って呼ばれていたんです」

 安倍首相が今回、訪問したのは、オマーン、コートジボワール、モザンビーク、エチオピアの4か国で、約30社の企業関係者も同行した。その狙いは…

 NNNが今月8日、同行している大手商社・三井物産を訪ねると…

 三井物産・エネルギー第二本部長の吉海泰至氏「我々は世界中のLNG(液化天然ガス)プロジェクトを5つの営業部でやっているのですが、モザンビークだけは『モザンビーク事業部』という名前をつけた部でやっております」

 今回の訪問国の一つであるモザンビークの名前がつけられた部署があった。

 吉海氏「(三井物産の)最重要プロジェクトの一つです。モザンビークの国の発展になるようなビジネスをどんどん考えようと、全社を挙げてやっております」

 三井物産では、2008年からモザンビークの沖合でガス田の探査を開始、2010年以降、世界有数の埋蔵量が見込まれるガス田が次々に見つかっている。

 天然ガスだけでなく、石炭など豊富な資源が眠るモザンビークは、年間約7%の高い経済成長率を記録、首都・マプト市内では、富裕層や外国人向けのレストランやホテルが次々にオープンし、近代都市への発展を遂げつつある。

 世界で最も成長が期待される国とも言われるモザンビーク。安倍首相は同行した企業関係者を大統領に引き合わせ、日本企業の存在をアピール、現地の政府関係者やビジネス関係者らを招いて投資フォーラムも開催した。

 安倍首相「本日、モザンビーク、そしてアフリカのみなさまに対し、日本をビジネスパートナーに選ぶなら今と申し上げたい」

 今回、日本政府は資源輸出のためのインフラ整備や人材育成を目的に、今後5年間で約700億円の援助を行うと発表した。官民一体で取り組むアフリカでの資源開発。

 安倍首相は出発前の今月9日、「今年も地球儀を俯瞰する戦略的な外交を展開していきたい」と述べている。

 「地球儀俯瞰外交」を掲げ、就任から1年余りで29か国を訪問した安倍首相は、フルーツなどの日本の食材からインフラまで幅広くトップセールスを展開。2度訪問したトルコでは、三菱重工などの企業連合が原発建設を受注した。

 企業側は、首相によるトップセールスをどう捉えているのだろうか。同行している三井物産の飯島彰己社長は「投資環境の法整備について色々お話をしているんですけれども、やはりそこのところは、民間ではかなり限界がある。日本企業がアフリカとか新興地域で経済活動をする上では(トップセールスが)大変な後押しになっている」と話す。

 地球儀を俯瞰する安倍外交を評価する声が聞かれる一方、こんな指摘もある。

 民主党・前原元外相「経済についてはよくやっていると思いますが、安全保障については中国・韓国と1年たっても首脳会談ができていない。できていないことが、同盟国・アメリカのフラストレーションを高めている。安倍首相自身の歴史観とかあるんでしょうけども、戦略性が欠けている。(Q周辺各国と協調することで、中国をけん制するというやり方を取っているように思うが)中国は包囲できないですよ。中国の影響力、経済、軍事、政治、非常に大きいわけですので、封じ込めることを本気で考えているのなら無理筋のことをやっている」

 今月も3回の外国訪問が予定される地球儀俯瞰外交。しかし、中国・韓国との関係改善策はなかなか見えてこない。