国葬「反対論」拡大で世論を二分 国民の納得得られず…背景は?
安倍元総理の国葬が行われる中、国会前では大規模な反対デモが行われています。なぜ世論はここまで割れているのでしょうか?
吉田茂元総理以降、総理経験者の国葬は行われなかったのに、なぜ今回は国葬なのか。政府の説明に、最後まで国民の理解は広がりませんでした。
背景には複数の要因があります。
そもそも、安倍氏の政治的な評価が定まっていないことがあります。官邸主導でリーダーシップを発揮する一方で、敵と味方を峻別する政治は国の分断につながったと指摘されています。
また、国葬の基準を定めた法律はなく、政府が閣議決定で実施を決めたことに対する反発もあります。
岸田総理がトップダウンで実施を表明し、事前に国会に説明をしなかったことへの批判といえます。
さらに、およそ16億6000万円もの国費が支出される費用の問題。
これらの要因が絡み合い反対論が広がり、政府も国民が納得できる説明ができなかったといえます。
また、総理周辺が「岸田総理が決断したのは事件直後で、いわゆる統一教会の問題も大きくなっていなかった」と語るなど、安倍元総理と教団との深い関係が指摘されたことも、岸田総理にとって大きな誤算でした。
教団と絶縁宣言をする一方で、関係が指摘される安倍氏を国葬にする矛盾を指摘されたことに加え、安倍氏と教団の関係を調査することについて「本人が亡くなった今、限界がある」として否定していることも、反対論が強まる一因となっています。
政府は国葬が終わった後も今後の国葬のあり方について、丁寧に説明する必要があります。