【報道局長解説】“国葬”に賛否両論 政府説明…国民の納得は?
今年7月、選挙期間中に銃撃を受けて亡くなった安倍元総理大臣の国葬が、9月27日火曜日に行われます。大規模な交通規制を伴う厳重な警備体制のもと、海外からも含め、約4300人が参列する見通しです。国葬をめぐる論点について日本テレビ伊佐治健・報道局長が解説します。
◇
――国葬についてNNNと読売新聞の今月の世論調査では、安倍元総理の国葬実施を「評価しない」が56パーセントにのぼりました。賛否が分かれるのはなぜでしょうか?
日本テレビ 伊佐治健・報道局長
「戦後は、55年前の吉田茂元総理の国葬以降、長期政権だった佐藤栄作元総理、中曽根康弘元総理でも、総理経験者の国葬は行われなかったのに、なぜ今回は国葬なのか、政府の説明に国民が十分に納得していない現状があります」
「岸田総理は国葬にする理由について、史上最長の政権だったこと、内政・外交の実績や、各国からの弔意、そして暴力に屈せず民主主義を守る決意と説明しました」
「しかし、国葬の決め方には問題があるなどと野党は追及しています」
◇
立憲民主党・泉健太代表(今月8日)
「今回国葬を強行しようとしている。これが総理あなたじゃないですか」
岸田総理(今月8日)
「おっしゃるように今、国葬儀について、具体的に定めた法律はありませんが、先ほど申し上げたように、この行政権の範囲内で、内閣府設置法と閣議決定を根拠に決定したわけですが」
「国民にさらなる義務を課するとか、何か行為を強要するということではない限り、具体的な法律が必要がないという学説に基づいて、政府としても今回の件についてしっかり考えています」
◇
伊佐治報道局長
「岸田総理が言うように、今回は吉田元総理の際に行われたような、自治体や学校への弔意表明の協力は求めません。内閣として、法的な裏付けは内閣府設置法と閣議決定で十分という立場です」
「ただ、国会側では衆議院法制局が『国葬のような、全国民的関心事項については国会の関与が必要だ』と内閣と違う見解を示し、野党にも同様の主張があります」
――国葬の費用についても議論がありますね。
伊佐治報道局長
「全額が国費=税金でまかなわれます。当初、式典の費用としておよそ2億5000万円としたところ、『警備の費用が含まれていない』『出来るだけ少なく見せようとしている』などと批判を受け、およそ16億6000万円の見通しが示されました」
「そのほかに、国葬に反対する声が強まっていると考えられる理由があります。やはり、いわゆる“統一教会”の問題が影を落としています」
「 岸田総理が国葬を発表したのは、安倍元総理が亡くなって6日後、まだ追悼ムードが強い時期でした。安倍元総理を強く支持する保守派にも配慮した形でした」
「しかしその後、“統一教会”と安倍元総理の関係が指摘されると、ムードが変わりました。霊感商法や高額の献金など、反社会性が批判される団体に、自民党議員らが結果的に“お墨付き”を与えていた事は大きな問題となりました」
「自民党幹部は『保守派が絶対国葬にすべきだと言うから決めたのに、今はみな黙ってしまって味方してくれない』とぼやいていました」
――国葬に対する国民の理解は進むでしょうか?
伊佐治報道局長
「台湾をめぐる中国の挑発がエスカレートする中、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋構想など、安倍元総理の外交の実績は広く認められるところです。岸田総理は、30を超える各国の要人と会談するなどレガシーを引き継いで、その成果としたい考えですが、国葬の終了後も、丁寧な説明を続ける必要があります」
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――国葬についてNNNと読売新聞の今月の世論調査では、安倍元総理の国葬実施を「評価しない」が56パーセントにのぼりました。賛否が分かれるのはなぜでしょうか?
日本テレビ 伊佐治健・報道局長
「戦後は、55年前の吉田茂元総理の国葬以降、長期政権だった佐藤栄作元総理、中曽根康弘元総理でも、総理経験者の国葬は行われなかったのに、なぜ今回は国葬なのか、政府の説明に国民が十分に納得していない現状があります」
「岸田総理は国葬にする理由について、史上最長の政権だったこと、内政・外交の実績や、各国からの弔意、そして暴力に屈せず民主主義を守る決意と説明しました」
「しかし、国葬の決め方には問題があるなどと野党は追及しています」
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立憲民主党・泉健太代表(今月8日)
「今回国葬を強行しようとしている。これが総理あなたじゃないですか」
岸田総理(今月8日)
「おっしゃるように今、国葬儀について、具体的に定めた法律はありませんが、先ほど申し上げたように、この行政権の範囲内で、内閣府設置法と閣議決定を根拠に決定したわけですが」
「国民にさらなる義務を課するとか、何か行為を強要するということではない限り、具体的な法律が必要がないという学説に基づいて、政府としても今回の件についてしっかり考えています」
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伊佐治報道局長
「岸田総理が言うように、今回は吉田元総理の際に行われたような、自治体や学校への弔意表明の協力は求めません。内閣として、法的な裏付けは内閣府設置法と閣議決定で十分という立場です」
「ただ、国会側では衆議院法制局が『国葬のような、全国民的関心事項については国会の関与が必要だ』と内閣と違う見解を示し、野党にも同様の主張があります」
――国葬の費用についても議論がありますね。
伊佐治報道局長
「全額が国費=税金でまかなわれます。当初、式典の費用としておよそ2億5000万円としたところ、『警備の費用が含まれていない』『出来るだけ少なく見せようとしている』などと批判を受け、およそ16億6000万円の見通しが示されました」
「そのほかに、国葬に反対する声が強まっていると考えられる理由があります。やはり、いわゆる“統一教会”の問題が影を落としています」
「 岸田総理が国葬を発表したのは、安倍元総理が亡くなって6日後、まだ追悼ムードが強い時期でした。安倍元総理を強く支持する保守派にも配慮した形でした」
「しかしその後、“統一教会”と安倍元総理の関係が指摘されると、ムードが変わりました。霊感商法や高額の献金など、反社会性が批判される団体に、自民党議員らが結果的に“お墨付き”を与えていた事は大きな問題となりました」
「自民党幹部は『保守派が絶対国葬にすべきだと言うから決めたのに、今はみな黙ってしまって味方してくれない』とぼやいていました」
――国葬に対する国民の理解は進むでしょうか?
伊佐治報道局長
「台湾をめぐる中国の挑発がエスカレートする中、日米同盟の強化、自由で開かれたインド太平洋構想など、安倍元総理の外交の実績は広く認められるところです。岸田総理は、30を超える各国の要人と会談するなどレガシーを引き継いで、その成果としたい考えですが、国葬の終了後も、丁寧な説明を続ける必要があります」