地方議員“なり手不足”400人の村で何が
人口減少が加速する中、全国の「地方議会」で人手不足が深刻になっている。過疎の村では、議会の代わりに住民が直接話し合って決める案も浮上。打開策はあるのか、自民党の小泉議員も動き出した。
高知県の山間にある大川村。そこへやってきたのは、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長。人口約400人と離島をのぞけば日本一人口が少ない大川村。村を一望できる場所へ来ると…小泉氏も驚くほど山間にあることが分かる。
小泉進次郎議員「これ一生忘れない現場ですよ」
しかし、過疎化が進む中“ある問題”に直面している大川村。
小泉進次郎議員「地方議会のなり手がいない。いったい400人の村で何が起きているのか」
村議会議員のなり手が足りず、議会の存続が危ぶまれている。去年6月には議会を廃止し、かわりに「総会」で村民が一堂に会して審議を行うやり方を検討すると表明。こうした「地方議員のなり手不足」は、全国で問題となっている。
人口の約40%が高齢者の北海道・浦幌町。私たちが訪ねたのは、澤口敏晴さん(70)。地元の材木を使った家具などを製造・販売している澤口さん。職場を出て、案内してくれたのは浦幌町議会の議場。
実は本業のかたわら、町議会議員も務めている。3年前の町議会選挙の際、立候補者が足りず、地域の人から頼まれて立候補し議員になった澤口さん。月17万5000円の議員報酬だけでは生活が難しいため、浦幌町議会では、議長を含めたほとんどの議員が澤口さんのような“兼業”議員。
Q:仕事との両立は?
澤口敏晴さん「とてもじゃないけど、なかなかスムーズにはいかない」
しかし“二足のわらじ”をはく難しさが議員の道を選ぶハードルに。3年前に議員定数を13から11に減らしたにもかかわらず、町議会は10人しか議員がいない“欠員”状態が続いている。
Q:(議員が)1人少ないことによる弊害は?
澤口敏晴さん「委員会活動は困るね。やっぱり議長を抜かして10人いないと議論が偏っちゃう。少数になれば声の大きい人に全部吸い取られちゃう。僕は終わりだと思う」
こうした中、2年前から始めたのが、議員が町民から直接意見を聞きとる意見交換会。また、「若者手当」や「育児手当」を支給して若い人を呼び込む、報酬を引き上げる、厚生年金の適用対象を広げて地方議員も加入できるよう法整備する、などの改革案もまとめた。
今回、地方の実態を視察した小泉氏。地方議員のなり手を増やすのに、「簡単な解決策はない」として今後も国会の場で議論を進めていく考えを示した。地方議員のなり手不足をどう解消すればよいのか。来年4月の統一地方選に向けて、地方議会の取り組みは続く。