「連立を組む気はない」今後の政局のキーパーソン、国民民主党・玉木代表に聞く
鈴江奈々キャスター
「国民民主党は、今回の選挙で4倍議席を増やして28議席を獲得しました。その勝因をどう分析していますか?」
国民民主党・玉木代表(28日午後3時すぎ)
「政策をちゃんと訴えたことだと思う。どうしても今回、政治とカネの問題が中心だったけど、『手取りを増やす』、これを訴え続けて、具体的にはいわゆる103万円の壁を引き上げる、基礎控除、給与所得控除を増やしていこうということで、主に経済政策をしっかり訴えたと」
鈴江キャスター
「それだけ期待が集まっている中で、ここからどうするのかについて伺います。15年ぶりに与党が過半数割れした状況です。国民民主党としてどう動きますか?」
国民民主党・玉木代表
「さきほど申し上げた通り、我々12日間政策を訴えて、特に『手取りを増やす』ということを訴えて頂いた議席である以上、政策実現にこだわりたい。だから連立がどうかという話はあるが、我々そういうことにくみする気はない。ただ選挙で約束した政策を実現できるのであれば、政策ごとに『実現してくれるんだったら、協力してくれるんだったら、協力するよ』ということはやっていきたい。あくまで政策本位で1つ1つ判断をしていきたい」
鈴江キャスター
「与党とどういうところで一致点を見いだせるかというのは、既に話はあるのでしょうか?」
国民民主党・玉木代表
「私はしているわけでないんですが、そういうアプローチは幹部にもあるのだと思います。ただ、具体的な話はまだ聞いておりませんけれども、いずれにしても、我々譲らない政策というのがありますし、特に手取りを増やす経済政策、基礎控除を上げましょうとか、あるいは、従来からずっと言ってきて主張を続けている『ガソリンの暫定税率を廃止して、レギュラーガソリン25円10銭さげましょう』とか。こういうことは、従来からずっと言ってきているのでぜひ実現したいし、実現してくれるんだったら、いろんな協力の可能性は広がってくるなと考えています」
鈴江キャスター
「国民民主党としてぜひ実現したい政策を実現するには、与党と連立することでは?」
国民民主党・玉木代表
「連立を組む気はないですね。連立を逆に組んじゃうと、やりたいこと以外で我々が逆に同意できないことを含めて、セットでOK出さないといけないじゃないですか、閣内だから。そうじゃなくて私たちがどうしても成し遂げたい政策ごとにそれを求め、また、それをどこまでできるのかという中で、こちらの判断を決めていくというのが、一番私たちに期待してくれた有権者に応える方法かなと思っています」
鈴江キャスター
「一方で野党系は半数を超えています。野党でまとまれば政権を取れる議席ですが、そこの可能性は探らない?」
国民民主党・玉木代表
「いまの野党全部まとめて政権取ってもらいたいと思います? 私が一番心配しているのは外交・安全保障なんですよ。今こういうふうに与党も野党も単独で過半数取る状況じゃない。極めて不安定。来月にはアメリカの大統領選挙がある。日米の安全保障を担当する責任者が代わったり、あるいはカウンターパートが変質する可能性があって、そういう中において、仮に安全保障で一致できないような、そもそも閣内で揉めるような形だと、南西諸島方面に対してすぐに領空侵犯、領海侵犯、またいわゆる有事が起きる可能性もあるので。外交安全保障とか原発を含めてエネルギー政策とか、国家の基本政策について一致できない人が集まってやっても、これは国のためにならないので」
「さきほど政策が大事だと言いましたけど、野党に対してもそうだし、野党がまとまるにしても政策の一致なくしてやろうとしても、結果としてそれは安定的な国の運営に反することになると思いますので、なかなか難しいなというのが正直な印象だし、それをそもそもまとめるのは野党第一党である立憲民主党がどうするのか、まだ何の声かけもありませんから、そこはまず、どういうふうに考えるのか、よく見定めたいと思います」
鈴江キャスター
「特別国会での首相指名、国民民主党としてはどうするのでしょうか?」
国民民主党・玉木代表
「玉木雄一郎と書きます。それが基本ですね。決選投票になったらどうするのかということもありますけど、そこはどういう形でそれぞれ各党、何もなくて書くわけじゃないですから、その場合は決選投票でも、無効になるかもしれませんが玉木雄一郎と書くしかないですね」
鈴江キャスター
「選挙結果を受けて、何も決められない政治になるのではないかという不安感が早くも上がっています。それに対してどう進めていくか、国民民主党の立ち居振る舞いがとても大きな意味を持ってきます。まず、国民民主党としてどういう政策から何を優先順位に訴えて進めていこうと思いますか?」
国民民主党・玉木代表
「2つあって、当面、臨時国会があります。その臨時国会の主要課題は補正予算だと思う。もちろん能登半島に対する対応とかしっかり入れていくよう求めていきますが、最近多いのは、災害が真夏とか真冬に発生して、体育館が避難所になるので、そこにエアコンがちゃんとあるっていうのは、避難して来られる方の…」
鈴江キャスター
「環境としても大事ですね」
国民民主党・玉木代表
「環境としても非常に重要。これは補正に適していると思うので、補正予算をつけて早期に急速に整備していくというのは、こういうことは公約にも書いてますから求めていきたい。それから年末の税制改正はなんといっても基礎控除を引き上げて、103万の壁をぜひ引き上げて、もっと働きたい人が働く、人手不足で困っている店長が困らないようにする。そして多くの働いている人の控除額を増やして課税対象所得を減らして、みんなに減税効果を及ぼして正に手取りを増やす経済政策。これを最優先に取り組みたい」
鈴江キャスター
「与党入りはない、というお話ですが、与党が今訴えている政策をのむかわりに、もう少し踏み込んだ連携を提案されたらどうしますか?」
国民民主党・玉木代表
「我々ポストはいらない。閣僚とかそういうのは全然いらなくて、国民のための政策が欲しい。今回、野党が躍進し与党が議席を減らした。政治報道なのでどうしてもそうなるが、どっちが増えようが減ろうが、国民生活関係なくて、困っていますよ、本当に。物価が上がる、でもなかなか賃金や年金は増えないと」
「いままでは自民公明で過半数占めてますから、何かをやろうと思ったら、自民党・公明党のOKさえ取っとけば、あとは部会でOKとってまとめたものを国会に出せば、最後は多数決を押し切れるから、あまり国会での議論は重視されなかった。しかし我々、野党第一党ではないですけど、国民民主党の声を、あるいは国民民主党を支持する人たちの声を無視しては物事が決まらない、そういう新しい状況になった。そこに真摯(しんし)に謙虚に向き合って、いろいろな声を聞きながら政策を決めていく。その新しいルール作りが求められていますし、国民民主党としてはいい政策を決めるルール作りについては、前向きに協力したいと思っています」
インタビューを終えて、玉木代表は――
国民民主党・玉木代表
「でも、なんとか28議席で生き残りました」