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【解説】「少子化対策」予算3兆6000億円…うち1兆円は「支援金」徴収で? 出生率上がるカギは「労働改革」か

2023年12月12日 6:13
【解説】「少子化対策」予算3兆6000億円…うち1兆円は「支援金」徴収で? 出生率上がるカギは「労働改革」か
政府が掲げる「次元の異なる少子化対策」の予算は3兆6000億円。11日、政府がその素案を示しましたが、ただ、専門家からは、それでは「出生率が0.1上がるかどうかだ」との指摘も出ています。しかも、政府は予算のうち1兆円は、国民からの「支援金」の徴収でまかなうというのです。出生率をあげるカギは、どこにあるのでしょうか。

小野高弘・日本テレビ解説委員(NY支局長や政治部を歴任)が解説します。

■“次元の異なる少子化対策”の予算「3兆6千億円」の中身&効果は?

有働由美子キャスター
「3兆円規模の予算をかけて、それでも出生率が0.1上がるかどうか、という指摘も出ています…」(※京都大学大学院・柴田教授による)

小野高弘 日本テレビ解説委員(NY支局長や政治部を歴任)
「“次元が異なる”はずなんですが…。

『次元の異なる少子化対策』の主なメニューは、次のようなものです。

・児童手当の拡充(第3子以降~月額3万円)
・扶養する子ども3人以上の世帯では所得制限なく、大学などの入学金・授業料を免除・減額
・育児休業の給付UP …など

こういったことなどを、年間3兆6000億円の予算をかけて行うものですが……そのうち1兆円を、国民からの『支援金』でまかなう、というのです」

■1兆円の「支援金」を徴収? 子育て世帯は負担より給付多か

有働キャスター
「つまり、今まで以上に支援(給付)も受けられるけれども、徴収もされる、というわけですね」

小野高弘 解説委員
「この『支援金』ですが、幅広い人から集めるといいます。公的な医療保険の保険料に上乗せする形で、1兆円集めましょうというのです。これを単純計算で日本の人口で割ると、1人あたり月に500円ぐらいとなります」

「ただ、ネット上には、次のような心配の声もあがっています」

『徴収されて逆に手取りが減ると、少子化促進では?と心配です』
『結局、負担を強いられるのでは、子育て世代としては、やる気がなくなるんだけど…』

有働キャスター
「どれも気持ちはわかりますけれども、これは特に、子どもを産みたい、もちたいという気持ちをモチベーションアップさせるという目的ですが、そこはどうなんですか?」

小野解説委員
「政府の説明では、医療や介護などの制度改正で保険料の伸びは抑えます。そして、その抑えた範囲内で徴収するので、追加の負担はありません、といいます」

「さらに、低所得者や一部の子育て世帯の負担は軽くする。これによって、子育て世帯は、負担より給付が多くなりますと説明しています。その点が具体的に示されるかどうかが、今後の注目点です」

■男性の“長時間労働”改善で…「出生率」0.5上がる?

有働キャスター
「そして、冒頭でも触れましたが、専門家は『出生率が0.1上がるだけ』ということですよね?」

小野解説委員
「その指摘をしているのが、子育て支援策の効果を分析している、京都大学大学院の柴田悠教授です。柴田教授は、メニュー自体の評価はできるが、『それぞれの規模が小さい』と指摘しています」

「たとえば、児童手当を第2子、第3子になるにつれて大きく増やし、大学の授業料の減額などももっと対象を広げるなどすれば、出生率は0.3上がるでしょうと。ただ、予算はさらに約4兆円必要になるといいます」

――効果をあげようとすると、それだけ予算が必要になってくるということ?

小野解説委員
「でも、そんな予算はありませんよね? そこで柴田教授は、別の考え方を示しています」

「例えば、男性の長時間労働を改善すると、出生率が0.5上がる。家事育児を男女ともに担う形が、少子化対策のカギだということです」

有働キャスター
「いずれにしても、“子どもを産む”というのは大変な決断なので、だからこそ、本当にどのくらいトータルで、出産・子育てがしやすくなる仕組みになっているのか納得できないと…と思うんですよね」

「それが、“この政府案で整ってますよ”ということであれば、説明が全然足りないですし、正直に言えば、まだまだこれからだと思います」


(12月11日放送『news zero』より)