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支持率最低――“信頼できない”首相どうする? 「これまでにない焦り」「返り血浴びても…」 政倫審とは【#みんなのギモン】

2024年2月20日 9:53
支持率最低――“信頼できない”首相どうする? 「これまでにない焦り」「返り血浴びても…」 政倫審とは【#みんなのギモン】
NNNと読売新聞の最新の世論調査では、岸田内閣の支持率は政権発足以来“最低タイ”。自民党は政治資金問題を受け、聞き取り調査やアンケートを経ても信頼を回復できていません。説明責任を果たす上で、政治倫理審査会(政倫審)への注目も高まっています。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「最低支持率続く…説明責任は?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●“信頼できない”首相に焦り?
●「政倫審」 渦中の幹部は?

■11年ぶり…「支持政党なし」50%超

菅原薫・日本テレビ解説委員
「自民党が政治資金問題で揺れる中、NNNと読売新聞が 16~18日に世論調査(全国の有権者に電話、1083人回答)を行いました。岸田内閣の支持率は、1月の調査から横ばいの24%。危険水域と呼ばれる30%を下回っていて、政権発足以来“最低タイ”となっています」
「さらに世論調査で『どの政党を支持しているか』を尋ねたところ、自民党は24%でした。2012年の政権復帰以来、最低となりました。最も多かったのは『支持政党なし』で、11年ぶりの50%超えとなる52%。1月の調査からは4ポイント増えています」

■内閣を支持しない理由の1位と2位

藤井貴彦アナウンサー
「政治とカネの問題で、政治そのものの信頼が失われているという影響を受けて、最低支持率も続いている。こういう形式なんじゃないですかね」

菅原解説委員
「政権発足以来、最低となっている岸田内閣の支持率。支持しない理由を聞いてみると、最も多いのは『政策に期待できない』(34%)、次いで『首相が信頼できない』(18%)でした」
「一方で、岸田内閣を支持する理由を聞いてみると、『他によい人がいない』が6割近い59%でした。かなり消極的な理由での支持というのが現状です」

■派閥幹部らの説明「十分でない」93%

菅原解説委員
「気になる政治資金問題についても聞きました。『自民党は関係した安倍派幹部らに厳しい処分をすべきだと思う』と答えた人は 81%に上りました」
「一連の問題について自民党派閥の幹部らの説明が十分かどうかという点については『思わない』が93%です。こうした調査で 90%を上回るのは相当高い数字だと思います」

徳島えりかアナウンサー
「そうですよね。自民党は全議員を対象にした調査を行いましたが、結局、誰が何に使ったのかという具体的なものが出てきていない以上、仕方のない結果かなと思いますね」

菅原解説委員
「その点についても世論調査で聞きました。事情聴取やアンケートが問題解明につながるかについて、77%が『思わない』と答えました。とにかく自民党に信頼がない、期待していないということがにじみ出ている結果となりました」

■世論調査の結果への受け止めは?

河出奈都美アナウンサー
「今回の政治資金問題では、裏金の金額の大きさというところにもショック、衝撃を受けました。一連の対応で十分な説明ができていない、つまり『隠しているのでは?』というところに私たちは不信感を持っているんじゃないかなと、この数字を見て思いました」
「自民党議員の皆さんは、この結果をどのように受け止めているんでしょうか?」

菅原解説委員
「取材で聞きました。政権幹部は『岸田首相はこれまでになく焦っている。安倍派幹部に対する処分もやらないワケにはいかない』と言っています」
「自民党幹部は『岸田首相は返り血を浴びることになるが、政倫審と処分で決断せざるを得ない局面だ』と危機感をあらわにしています。この幹部も言っている『政倫審』が、説明責任を果たそうという姿勢を示せる1つの場になればいいのですが…」

■政治・道義的責任について審査と勧告

菅原解説委員
「ここからは、政倫審に渦中の幹部が出席するのかについて見ていきます。そもそも政倫審とは政治倫理審査会の略で、衆議院と参議院それぞれに設置されています。政治的・道義的責任について審査し、勧告を行う機関です」
「メンバーについて、政倫審の委員は25人いて、そのうち9人以上の申し出、もしくは疑惑を持たれた議員本人が申し出た時に開かれるというルールになっています。これまで衆議院で9回開かれています」

■原則非公開、欠席 OK の政倫審

菅原解説委員
「2002年、公設秘書給与の流用疑惑で田中真紀子元外務大臣が政倫審に呼ばれ、その様子はメディアに公開されました。2004年にはヤミ献金事件で橋本龍太郎元首相らが呼ばれましたが、会場への出入りや冒頭の撮影のみで、審査の様子などは公開されませんでした」

刈川くるみキャスター
「その時々の渦中の問題が話し合われるということで、我々国民も何が話されるのかすごく気にはなるのですが、公開・非公開というのはどのようにして決まるのですか?」

菅原解説委員
「原則は非公開です。議員本人が希望して審査会で決議されれば公開となります。あくまでも議員同士が政治倫理に基づいて責任を明らかにしようとする場なので、法的な拘束力はなく、議員辞職勧告もできず、欠席してもいいんです」
「実際、2009年に政治資金管理団体の個人献金偽装問題で呼ばれた鳩山由紀夫元首相は欠席しました」

■ハードル低い政倫審、次に証人喚問?

刈川キャスター
「法的な拘束力はなかったり非公開だったりしても、議論する場があるというのは大事だと思います。ただ欠席となると、政倫審が開かれる意味はあるのでしょうか?」

菅原解説委員
「そう思ってしまいますよね。あくまで自主的に説明、弁明をする機会ということです。一方で16日、立憲民主党の泉代表は『政倫審の開催はぜひ第一歩としてやってもらわないと。それを妨げるならば証人喚問とか次の手段を考えないといけない』と言っています」
「証人喚問というのは強制力があり、ウソの証言をしたり、正当な理由なく出席を拒んだりすれば、偽証罪や出頭拒否罪などの刑罰が科されます」
「つまり、まずはハードルの低い政倫審の開催を求めるところから始めて、自民党が誠実に対応しないということであればより厳しい条件の証人喚問などを求めますよ、というのが野党の戦略なのでしょう」
「政倫審の委員を務める自民党議員も『野党の流れに乗った方が賢い。(より厳しい)証人喚問とかになったら困るしね。説明責任を果たした姿勢の1つになる』と話すなど、応じざるを得ない雰囲気となってきています」

■注目は安倍派幹部や二階氏の出席

菅原解説委員
「では、誰が政倫審に出席するのでしょうか? 先週の政倫審の幹事懇談会で、野党側は派閥からの資金などを政治資金収支報告書に記載していなかった安倍派と二階派の衆議院議員 51人全員の出席を求めました」
「自民党は『党に持ち帰る』として、今週の早い段階で回答する考えを示しました。政倫審への出席は本人の意思によるものですので、まずは自民党幹部がこの 51人に対して意思確認をするということです」
「ただ、51人という数字は現実的ではないので、1つの線引きとして派閥のトップや事務総長経験者に絞れないかという声が出てきています。注目は、安倍派のいわゆる“5 人衆”や座長の塩谷氏といった幹部らや、二階元幹事長が出席するのかどうかです」

藤井アナウンサー
「『政治家何やってんだ』とお怒りの方もいらっしゃると思いますが、実は選んだのは私たちですからね。こういった一連の経緯をしっかりと見て、(記憶に)刻みつけておくということが必要ですね」

菅原解説委員
「世論調査の結果を見る限り、聞き取り調査や、匿名で公表されたアンケートでは国民の信頼を回復できていません。政倫審を含めて、どれだけオープンに自ら説明する姿勢を示せるかが厳しく問われます」

(2024年2月19日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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