「完全公開」の政倫審 に岸田首相出席、「元首相」が迫る場面も
自民党の派閥の政治とカネの問題をめぐり、衆議院の政治倫理審査会が「完全公開」で開かれ、岸田首相が現職の総理大臣として初めて出席しました。肝心の裏金問題の真相究明へ進展はあったのでしょうか――
15年ぶりに開かれた衆議院の「政治倫理審査会」。最初に弁明に立ったのは、現職の総理大臣としては初めての出席となる岸田首相でした。
岸田首相
「政治不信を引き起こしていることに対しまして、自民党総裁として心からおわびを申し上げます」
「完全公開」の政倫審は、岸田首相のおわびから始まりました。
「立憲民主党の野田佳彦です」
質疑で元総理が現職の総理に迫ったのは、岸田首相自身の政治資金パーティーについてです。
立憲民主党 野田元首相
「2022年に(岸田首相は)7回もパーティーをやっている。異常じゃないかと」
「一晩で3000万円以上のね、収入を得るような集会をやって、それを勉強会と言っている。政治資金パーティーを、あえて勉強会と言い換えるようなやり方は、私はごまかしだと思いますけども、いかがですか」
岸田首相
「総理就任前から続けている勉強会を引き続き続けているというもの」
別室で中継を見つめた野党議員は――
野田元首相
「裏金をつくって脱税している人たちに、志を求めるのは間違っていますよ」
岸田首相
「総理就任前から続けている勉強会…」
立憲民主党議員
「この期に及んで言うかね」
「お金の勉強会だ」
◇
立憲民主党 野田元首相
「もう内閣総理大臣としては、政治資金パーティーはやらないと明言はできないんですか」
岸田首相
「内閣総理大臣としてパーティーを開催することは、今は考えていません」
立憲民主党 野田元首相
「『今は考えていない』って言ったら、ほとぼりが冷めたらやるってことじゃないですか。やらないと言ってください、在任中は」
岸田首相
「結果的に在任中はやることはないと考えています」
焦点の安倍派の“裏金”については――
共産党 穀田恵二議員
「誰が(不記載の)指示をしたか確かめましたか」
岸田首相
「(自民党の)報告書の中においては、派閥の事務局からそういう指示があったと」
共産党 穀田恵二議員
「結局じゃあ(金を)何に使ったのかについても、結局(自民党の)報告書のとおり、お述べになるだけですか? 分からないということですか」
岸田首相
「えっと(自民党の)報告書に…失礼。使い道については(自民党の)報告書の中に書いてありますように、事務所費とか研修費とか備品の購入とか…」
岸田首相は、自民党が出した報告書の内容を繰り返し述べました。
そして先月29日、もう1人説明に立ったのは二階派の事務総長・武田元総務相です。
二階派の事務総長 武田元総務相
「志帥会を代表しておわび申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」
5年間で約2億6000万円のパーティー券収入の不記載があった二階派。
立憲民主党 寺田学議員
「(販売)ノルマの決定は、どなたがされていたんですか」
二階派の事務総長 武田元総務相
「私、また二階会長がそうしたルールを決めたり、ノルマを決めたり制度、システムを決めたりすることは、まったくしていないということは、ここで答弁させていただきます」
すべて派閥の事務方に任せていたとして、二階氏と自身の関与を否定しました。
3月1日は岸田首相も出席して行う予算案の審議と、安倍派幹部4人が出席する政倫審が両方、予定されている異例の日程となっています。
来年度予算案をめぐり、与党側は「能登半島地震の復興予算も入っているので年度内成立を確定させたい」と、1日に採決を行いたいと提案。
これに野党側は政倫審が1日も予定される中、「予算案の採決強行は裏金問題の幕引き以外のなにものでもない」などと反発。しかし小野寺委員長が職権で、1日に採決することを決めました。
(2月29日放送『news zero』より)