野村農水相“汚染水”発言を謝罪 言い間違えと…「自分で言ったということを全然記憶になかった」
野村農林水産相は31日、福島第一原発の処理水を「汚染水」と表現したことについて謝罪しました。この発言にどのような真意があったのでしょうか。
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8月31日午後7時半ごろ、野村農水相は緊急会見を開き謝罪しました。
野村農水相
「福島県のみなさまをはじめ、それに一生懸命になっている関係者のみなさまに不快な思いをさせて申し訳なかったと思っております」
発端はこの4時間前、首相官邸で記者に発した言葉でした。
――首相とはどういった話を?
野村農水相
「情報交換です。それぞれの役所の取り組み状況について、“汚染水”のその後の評価等について情報交換をしたということです」
福島第一原発の「処理水」のことを「汚染水」と発言。岸田首相は31日午後6時ごろ、この発言に「ご指摘の発言については遺憾なことであり、野村農水大臣に対して全面的に謝罪するとともに撤回するよう指示を出したところであります」と述べました。
――処理水を「汚染水」と言った真意は?
野村農水相
「本日、記者さんの質問に対して、官邸で『処理水』を『汚染水』と言い間違えたことについて、全面的に謝罪して撤回を致したいと思います」
――心を痛めている漁業者などにどのような言葉で謝罪しどう責任とる?
野村農水相
「今回の反省を踏まえまして、改めて緊張感をもって水産事業者に寄り添った対策の実施に万全を尽くしてまいりたいというふうに考えております」
――責任をとって辞任など進退に関わる問題ではないと?
野村農水相
「だから、今回の反省を踏まえて改めて緊張感をもって、水産業者に水産事業者に寄り添った対策の実施に万全を尽くしてまいりたいと考えているところです」
――“汚染水”とは思ってない?
野村農水相
「それは『ALPS処理水』とずっと言ってきたんですが、何でそのときに『汚染水』と言ったのか。ちょっと私も自分で言ったということを全然記憶になかったものですから。ALPS処理水と言っているんですけれど、何でそのときにぽっと汚染水というのが出てきたのか。まぁ中国は使っているのでそういうことを言おうと思ったのか。ちょっと頭の中わからないんですけど」
あくまで言い間違えだとして、進退に関わる発言ではないと辞任については否定し、改めて今後の対応に万全を尽くすと話しました。
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一方、処理水を“汚染水”と主張している中国政府は、日本の水産物の輸入禁止措置をとっています。
中国・蘇州にある日本料理店では、店員が「店内で出すものが日本産かと思い少し心配しているお客さんはいます。『安全です。日本から輸入したものではない』と説明しています」と話していました。
中国は、日本の水産物の最大の輸出先。去年の輸出額は870億円あまりにのぼります(香港を除く)。
こうしたなか、岸田首相は31日、東京の豊洲市場を訪れ、水産事業者らの話を聞きました。
岸田首相
「取引量、価格とかに影響は出ていますか」
水産業者
「直近で90%のマイナス」
特に気にしていたのはホタテです。
岸田首相
「ああ、ホタテ、ホタテ」
実はホタテの輸出額は467億円と、金額ベースで中国向け輸出の半分以上を占めています(香港を除く)。
岸田首相
「影響は出ている?」
水産業者
「かなり出ています」
影響を受けているというホタテ。北海道紋別市にある水産加工会社を訪ねました。
水産加工会社 部長
「こちらが入ってきたホタテを貝むきする場所」
会社の工場にはオホーツク海でとれたホタテが、1日約50トン届きます。そのうちの2割から3割が中国向けだったため、それだけの収益を失うことになります。
水産加工会社 部長
「こちらがホタテの殻から貝柱だけを取り出す作業」
中国向けのほとんどは中国側の求めで、貝むきの作業を行わず冷凍して輸出していたといいます。中国以外に売りたくても、そのために貝むき作業の手間が増えることになります。
水産加工会社 社長
「人の問題・労働時間の問題、そういう壁もありますから、ちょっとやっぱり対応が不可能になってくるのかなと」
(8月31日放送『news zero』より)