幹事長に「3A」甘利氏…党役員の顔ぶれは
自民党の岸田文雄総裁が、党役員人事を内定させました。安倍前首相に近い議員や安倍政権を支えた重鎮を党要職に充て、官房長官は安倍氏と同じ派閥から起用。年齢バランスに配慮しながらも、党内からは「安倍氏の支配から逃れられない」との声も聞かれます。
■閣僚9年の麻生氏は「副総裁」に
自民党の岸田文雄総裁は30日、記者からの「党役員人事や官房長官人事は決められたのでしょうか」という問いかけに「今作業を行っています。とりあえず明日(10月1日)は党の方の呼び込みをします。お願いします」と答えました。
新総裁の誕生から丸1日たちました。議員会館の売店で売られる、「党の顔」をあしらった菓子も入れ替わりました。
30日夜、副総理兼財務相の麻生太郎氏が9年近く務めた閣僚から外れ、党副総裁のポストで起用されることが分かりました。
■「ナンバー2」は“3A”甘利氏
党ナンバー2の幹事長には、党税調会長の甘利明氏が内定しました。
甘利氏は、麻生氏らと共に安倍政権を支え、3人の頭文字を取って「3A」と呼ばれる重鎮の1人です。総裁選では、河野太郎ワクチン担当相と同じ麻生派に所属しながら、岸田氏の選対顧問を務めました。
9月29日にあった岸田氏の報告会では、甘利氏は「10月4日には総理大臣ですよ」と持ち上げ、グータッチで勝利を祝福しました。
■安倍氏支援の高市氏、政調会長に
安倍前首相の支援を受けて総裁選を戦った高市前総務相も報告会に駆けつけ、「岸田新総裁、ご就任おめでとうございます」と挨拶しました。党3役である政調会長に起用されることになりました。
一方の河野氏は、党の広報本部長での起用にとどまりました。
党3役の総務会長には、安倍氏の出身である細田派に所属する当選3回の福田達夫氏を抜てきし、官房長官には同じく細田派の元文科相・松野博一氏が内定しました。
岸田氏は29日の会見で「やはり老(年)・壮(年)・青(年)のバランス。これが大事だということで、現状を考えると、より中堅若手への思い切った登用が必要である」と語っていました。その宣言通り、年齢のバランスに配慮した布陣を組みました。
しかし、自民党議員からは「結局、安倍さんの支配から逃れられない自民党になっちゃった感じだね」という声も漏れました。
■野党「協力」も…足並みそろわず
野党も衆院選に向けて動きを加速させています。
立憲民主党の枝野代表は30日、野党の党首と相次いで会談しました。
枝野代表
「立憲民主党と日本共産党は、新政権において市民連合と合意した政策を着実に推進するために協力する」
日本共産党・志位委員長
「新政権において、両党が協力していくことが合意されたことは、極めて重要な前進」
ただ、10月4日の首相指名選挙をめぐっては、社民党・共産党・れいわ新選組は枝野氏に投票するものの、国民民主党はそれを拒否。足並みはそろいませんでした。
(9月30日『news zero』より)