自民・立憲政策対決 次官批判では一致
自民党の高市早苗氏、立憲民主党の泉健太氏。両党の政調会長が深層NEWSで対決した。2人は経済政策で違いを強調する一方、GoToトラベルの改善や海上保安庁の体制強化の必要性、財務次官が月刊誌に「ばらまき合戦」と寄稿した件への批判では、一致点もみられた。(※敬称略。番組での発言からの抜粋です。文意を損なわない範囲で語尾などを変換しています)。
■泉「誰が司令塔?」、高市「運用の問題」
(高市)
やはりエビデンスを持って、丁寧に説明をして納得感を得ていただく。(岸田総理の)こういった姿勢・人柄っていうのは、にじみ出ていたと思う。
(泉)
もっと情熱的に、しっかりと改革の意志とか述べられるのかなと思ったが、予想以上に静かなスタートという感じがした。非常に抑えて、抽象度が高くて、薄味な感じの答弁が多かった。
(泉)
厚生労働大臣、経済再生(担当兼務の)コロナ対策大臣、はたまたワクチン大臣もまた再任された。そうなると結局、「誰が司令塔なんですか」と。何も菅内閣と変わっていない。「司令塔の強化」という言葉と、実際の具体策の無さとの差が(明確だ)。
(高市)
私も泉さんにわりと近い考え方だったが、今回の組閣を見ても、また3大臣作っちゃってるから、「この大臣が主ですよ」ということを決めるのか、多分これは運用の問題になるんだろう。(ロックダウンを可能にするため)一定の罰則規定は必要というのが私の主張だった。ただ岸田総理は「そこまできついことはやらない」と。(どう人流を抑制するか)ちょっと内閣からの提案を見て、党の方でしっかりと審査をさせていただく。
■泉「GoTo、医療・介護従事者に特別枠を」
(泉)
今までのGoToトラベルはちょっとパワーがありすぎるんじゃないかと。「半額の補助」を全国一斉に始めると一気に人流が増す。私の地元・京都は観光地だから、地元の方は「何も秋の紅葉シーズンにやってほしいわけじゃない」、「閑散期にうまく長く支援してもらえるような形に」と。「全国一斉に先着順で」よりも平準化して長い支援に変えていくことが大事じゃないか。
――1人最大4万円、2人で1泊8万円の旅館に泊まれる層が国の補助を受けることが適切かという批判もあった。
(高市)
変えていった方がいいと思いますよ、私は。痛んでるのはむしろ小さなビジネスホテルや観光旅館が痛んでるから。
(泉)
医療関係者とか介護従事者とかが行けるぐらいに、その方々の余裕を作っていくことが必要だと思う。「特別枠」を作ってもいいぐらいじゃないか。
■泉「早々の撤回、残念」、高市「総裁任期は3年ある」
――岸田総理は金融所得課税の見直しに言及していたが「すぐには行わない」と一転慎重に。
(高市)
総裁任期は3年ある。今はその時期じゃないと判断されたんだと思う。特に株式市場にダメージが及べば年金の運用にも影響が出てくるから。
(泉)
年収1億円以上になると所得税負担率が下がっていく。与野党を超えた課題だったのを早々に撤回というか、引っ込められてしまったというのは非常に残念だ。
■高市「次官室から見える景色…、全然違うんだ」
(高市)
(財務次官が月刊誌に「ばらまき合戦」と寄稿したのは)これ与野党ともに、もう全国会議員、バカにされたような話ですからね。私達やっぱり歩いて歩いて、選挙区の方や全国の方の声を聞いている。全国民の代表なんですよ。それに対し、全く小ばかにしたような話をするってのはおかしくないですか?「次官室から見える景色」と、やっぱり「私達が歩いて聞いてくる声」とは全然違うんだと思った。
――消費税引き下げ公約で、野党も批判されている。
(泉)
高市さんと同じようなコメントになるかもしれない。(財務省から)これまでも何度も何度も「財政破綻する」と言われ続けてきて、もう10年、15年。しかしそうはなっていない。そして今、非常時だ。必要な時にはやはり歳出をしっかりやって、平時に戻った時に、少しずつ景気を回復させていく中で税収を上げていく。そういうことがやはり正しいプロセスだと思う。
(高市)
今、本当に困ってる方や事業主体をつぶしてしまったら、もう成長をするための基盤がなくなってしまう。そういうこともよく考えていただきたい。
■泉「海保も整備計画を」
(泉)
尖閣(諸島周辺海域)で、中国海警、どんどんどんどん力を増強させているし、船の数も増え、大型化している中、海上保安庁もそれに負けずに、しっかりと尖閣を守っていかなければいけない。「海上保安庁でできる対処」から、もしかして「自衛隊に切り替えなければいけないところ」、こういったところをシームレスにやっていきたい。そして実は海上保安庁には、まだ整備計画が無い。ちゃんと作って、しっかりと必要な資機材を船も含めてそろえていくことが大事だ。
(高市)
完全に組めますね!
(高市)
これから日本も「非公開特許」(が必要)ですね。何もかも公開してしまって、北朝鮮軍や中国人民解放軍に悪用されたら最悪だから。研究者を入れる時のスクリーニングをちゃんとかけていかなきゃいけないし。こうしたことをしっかり法整備していくのが岸田内閣の大きな役割になるし、私、今度、党の「経済安全保障本部」の本部長になるんで、しっかりグイグイとやらせていただく。
(泉)
先日、本会議場で高市政調会長にお話ししたが、経済安全保障の大臣のもとに部下がいないんですよ。NSS(国家安全保障局)の経済班も官房長官の部下であって、大臣の部下じゃないんですね。ちゃんと強化しなきゃいけないと伝えた。
■高市「共産党も一端になう政権選ぶのか」、泉「まさに政権選択選挙」
――民主党支持率は7%。政権の受け皿となれそうか?
(泉)
去年、新たな立憲民主党として発足し、コロナ禍でなかなか地域活動ができないということで、確かに伸びていないと言われることも。ただ一方で着実に全国各地で仲間達が活動して、しっかりと浸透して、それなりの支持率もいただいている。枝野代表自身も「宏池会的な自分自身がある」と言ったぐらいだ。立憲民主党そのものが中道や保守もしっかりとゾーンに含めて、これから勢力を伸ばしていきたい。
(高市)
政権選択選挙だ。史上初めて、閣外協力とはいえ、共産党が政権の一端を担う政権を選ぶのかどうかも国民の皆様にはしっかりとご判断をいただきたい。とにかくしっかりと政策を、自信を持って訴えて戦ってまいります。
(泉)
自民党と公明党も「まさか連立を組むとは思わなかった」というのが最初の連立の頃だったと思う。どこかの党だけが良いとか悪いではなく、やはり今の国民生活を守るために、まさに政権選択をしなきゃいけない。私達は分配、多様性、そして「きれいな政治」をぜひとも実現するために頑張りたい。