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【解説】中国軍機 初「領空侵犯」 狙いは? 考えられる2つの可能性

2024年8月28日 6:12
【解説】中国軍機 初「領空侵犯」 狙いは? 考えられる2つの可能性

26日に起きた中国の軍用機による日本への領空侵犯について、中国側が27日にコメントを出しました。なぜ、今回の領空侵犯は起きてしまったのか。そして中国の狙いは…

■「領空侵犯」中国側がコメント

藤井貴彦キャスター
「中国の軍用機による日本への『領空侵犯』が初めて確認されたことについて、中国側が27日にコメントを出しました」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「中国外務省の報道官は『その問題については、関係部署が現在調査、そして確認をしているところだ』。また、『中国はいかなる国の領空も侵犯する意図はない』と述べました」

藤井キャスター
「意図はないという言葉にどんな意味が込められているのかわかりませんが、ただ日本国内では、今回の領空侵犯は非常に深刻なこととして広がっていますね」

小栗解説委員長
「『領空侵犯』は非常に重大な行為でして、国際法では許可なく他国の領空を自由に航行することは認められていません。そのため、領空侵犯が確認されたら『速やかに退去を“警告”』、そして『最寄りの飛行場へ“強制着陸”させる』。それでも従わない場合は最悪『撃墜』。撃ち落とすこともあるということです」

■リスクの高い領空侵犯 考えられる2つの可能性

藤井キャスター
「中国にとってもリスクの高い領空侵犯ですが、なぜ領空侵犯を行ったと考えられますか?」

小栗解説委員長
「可能性としては2つ考えられます。1つは『中国軍用機のミス』、もう1つは『意図的な侵入』です。ただ今回、『意図的な侵入なのではないか?』という見方が広がっています」

藤井キャスター
「それはなぜですか?」

小栗解説委員長
「その理由の1つは、中国軍用機の『飛行コース』です。防衛省によると、軍用機は中国方面から飛んできて、26日午前10時40分ごろ、長崎県の男女群島沖で旋回をはじめます。関係者によるとここで『2周』、50分ほど旋回したあと、午前11時29分ごろに領空へ侵入。約2分後に領空を出ました。こうした行為に対して航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させ、警告などをしました。それでも、その後も軍用機は周辺空域で再び旋回。午後1時15分ごろに中国方面に戻っていったということです」

「ある防衛省の関係者は、『2周目で侵入しているから、間違いなく意図的』だろうと。別の自衛隊関係者は『日本のディフェンス対応を確かめているのだと思う』と話しています」

■意図的? 侵入したのは「情報収集機」

小栗解説委員長
「もう1つの理由ですが、『機体』です。防衛省によると今回、侵入したのは戦闘機ではなく『情報収集機』です。元防衛省・統合幕僚長の河野克俊さんは、『情報収集機は基本的には複数の乗組員が乗っているもの。飛んでいる位置をしっかり把握していて、情報収集に追われてどこを飛んでいるかわからなくなることはあり得ない。侵入は意図的とみるべきだ』と話しています」

藤井キャスター
「意図的とみるべきでしたら、では中国側の狙いがあるはずですよね?」

小栗解説委員長
「河野さんは『中国国内で最近、日本に対する強硬派の動きが目立ってきている。習近平体制の力関係に変化が出てきているのかもしれない』と分析しています。また、航空自衛隊・元空将の織田邦男さんは、『中国の空軍は中央の統制がききにくく、現場が好き勝手にやる傾向がある。国際社会が大騒ぎして初めて習近平主席の耳に達する場合が多いと言われていて、国際社会の厳しい目を中国の行動に向けさせないといけない』と話しています」

水野美紀さん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「台湾の話もこの中国の話を聞いても、こういう戦争が思い起こさせるようなニュースを聞くと本当に不安な気持ちになります。子どもをもつ親として、子ども世代に平和な社会を受け継いでいきたいんですけれども、自分に何ができるのかなと。何よりも今、起きていることに無関心ではいけないと強く思います」

(8月27日放送『news zero』より)