自民党総裁選、林芳正氏が政策発表会見 未来に希望がもてる「ウェルビーイング向上社会」訴える
自民党総裁選に立候補を表明している林官房長官は10日、政策発表会見を行いました。“3つの安心”と位置づけ「格差是正と少子化対策」「ハードとソフトのインフラ整備を通じた国土強靱化」「外交・防衛」への取り組みを強化し、誰もが未来に希望を持てる「ウェルビーイング向上社会」の実現を訴えました。
■「格差是正」と「少子化対策」
林長官は、岸田政権において進めてきた少子化対策に加え「中長期的に安心して結婚し希望を持って子育てできるように」と説明し、最低賃金の引き上げや物価高騰対策などを行うと主張しました。さらに「不本意な未婚の大きな原因は非正規雇用だ」と指摘し、結婚を望む人が結婚できるよう労働環境を整え男女ともにリモートや副業、リ・スキリングなど自分にあった働き方が出来る環境を作りたいと訴えました。
■「成長戦略」でデフレ脱却・実質賃金をプラスへ
日本の経済については「アベノミクスと新しい資本主義を経て、やっとデフレから抜け出し実質賃金がプラスになる入り口に立っている」と指摘しました。その上で「良い状況を止めずに強化するには成長戦略が必要」と指摘し、成長戦略の強化を進めると主張しました。その一丁目一番地は「GX」と位置づけ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを支援するために発効される20兆円の債権を活用し強化を図ると訴えました。
■「成長戦略」としてのコンテンツ産業の振興
林長官が、成長戦略として強化する考えを示したのは「コンテンツ産業の振興」です。コンテンツ産業は「日本の基幹産業だ」と指摘して音楽やアニメ、ゲームなどのコンテンツビジネス産業の振興やクリエーターの保護を促進すると打ち出しました。
■「知中派」のノウハウ生かし、中国の輸入規制の撤廃求める
林長官は、中国とパイプがある自らのことを「知中派」と称し「いろんな課題があるが潜在的に大きな需要が見込まれるのも事実」と述べました。その上で「総理総裁になった暁には日本のおいしい農産物を中国に輸出が出来るように努力したい」と語り、中国による牛肉や食品の輸入規制について、外交を通じて即時撤廃を求める考えを示しました。
■政策活動費の公開は10年後より「前倒し」
林長官は、政策活動費について「国会であれだけの議論して10年後の公開と決まっている。議論が無かったように突然やめるというのはいかがなものか」と述べ、存続すべきとの考えを示しました。その上で10年後の公開は「長すぎる」と指摘し公開までの期間を前倒しする考えを示しました。
また、政治資金収支報告書への不記載があった、いわゆる裏金議員を選挙で公認するかについては「党紀委員会には法曹関係者も入り中立的な審査が行われている。新しい事実が何もないのに総裁が変わったからといって覆すのは法の支配の観点から出来ない」と述べ、公認する考えを示しました。
さらに、いわゆる裏金議員の閣僚や党幹部への登用については「選挙で国民の審判を受けて戻ってきた人は適材適所で登用したい」との考えを示しました。
■解雇規制の緩和には疑義
小泉進次郎元環境相が、労働市場改革として打ち出した「解雇規制の緩和」について、林長官は「私は人にやさしい政治を掲げている。一方的に不本意に解雇されるというのが自由に出来るというのは果たしていいのか」と疑問を呈しました。その上で「リ・スキリングなどにより自らもっと自分をいかせる新しいところへ移る。そのための政策的な後押しを充実させていく」と訴えました。
■小選挙区制度を検証
林長官は、小選挙区制度の導入から30年近くがたっていることをふまえ「現行の小選挙区制度を党派を超えて有識者を交えて検証をしたい」と話しました。
■北朝鮮による拉致問題
拉致問題担当相でもある林長官は「二人の娘をもつ親として痛切の極み」と述べました。その上で岸田首相が直轄のハイレベルでの協議を行いたいと説明してきたことについて「しっかり引き継ぐ」と表明しました。その上で「経験してきたモノをすべて使って解決に向け努力をしたい」と意気込みを語りました。