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【解説】“裏金事件” 39人の処分決定へ 総理批判も…自民党“今後”どうなる?

2024年4月4日 19:53
【解説】“裏金事件” 39人の処分決定へ 総理批判も…自民党“今後”どうなる?

自民党のいわゆる裏金事件をめぐり、39人の国会議員らの処分が正式に決定しました。日本テレビ・政治部官邸キャップの平本典昭記者が、党紀委員会の決定をめぐる次の3つの疑問を中心に、最新の動向を詳しく解説します。

1. なぜ?異例の「総理批判」
2.“大荒れ”党紀委員会 何が?
3.分かれた処分の「明暗」

■なぜ?異例の「総理批判」 処分めぐる動きで政権にも影響が?

鈴江奈々キャスター
「まず1つ目からみていきます。

『なぜ?異例の「総理批判」』ということで、
今回の処分で一番重い『離党勧告』になった塩谷議員が『処分基準が明確でない。党代表の責任がある』などと岸田総理を批判したということなんですよね?」

日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「これは厳しい言葉で、一番驚いたニュースでした。

なぜなら、処分を受ける側が、本来は黙って反省すべき人が、処分を決める側のトップ、総理大臣を公然と批判した、と。

“自分の責任を棚に上げて”ということもあります、それより、最高権力者であるはずの総理が表だって批判される、そこまで弱体化しているのかと『えっ』と思ったわけです。

ある閣僚経験者は『総理批判はこのあと止まらなくなる』と話しています。党内には、『政権がいま、最も弱まっている。もう、もたないのでは』とすら言う人も出始めています」

鈴江キャスター
「今回の処分をめぐる動きが、政権にも大きな影響を与えかねない、ということなんですね」

■“大荒れ”党紀委員会 何が? 「処分基準が曖昧」だった?

鈴江キャスター
「続いて、『2.“大荒れ”党紀委員会 何が?』ということで、党紀委員会が“荒れた”理由はどこにあるんでしょうか?」

日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「ちょうど10分ほど前に終わりました。終わった直後、1人の委員に話を聞きました。異論がかなり出たと話していました。その党紀委員会のメンバーは、始まる前から怒っていたんです。一番は、『処分基準が曖昧』だった点です。

メンバーの本音を取材すると、『曖昧な基準で、処分を雑に持ち込まれても困るんだ』と。複数のメンバーが、始まる前は『党紀委員会で“ちゃぶ台返し”だってある』と“大荒れ”を予測していました。

最新の取材している情報では、ほぼ原案どおりまとまったという情報もあります。予定を超えて2時間、“荒れた”党紀委員会という形になったとみられます」

■分かれた処分の「明暗」…「党員資格停止」と「党の役職停止」では“雲泥の差”

鈴江キャスター
「そして3つめ、『分かれた処分の「明暗」』ということなんですが、まず、何が分かれたんでしょうか?」

日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「一番のポイントは処分で、『党員資格停止』処分と『党の役職停止』処分と2つありますが、これは“雲泥の差”なんです。

例えば、同じ安倍派幹部でも『党員資格停止』処分は下村氏・西村氏・高木氏。そして、『役職停止』処分は萩生田氏・松野氏です。

『党員資格停止』ですと、選挙で公認されません。総裁選でも投票もできません。

『公認されない』ということは、選挙に落ちる可能性が高まるということ。ある自民党幹部は『選挙が弱い議員にとっては、政治生命を絶たれる処分だ』と話しています。

一方の『役職停止』は、例えば萩生田氏については、すでに、党の役職『政調会長』を辞めています。なので、自民党幹部の1人は『萩生田さんは事実上、処分なしだ』と、別の閣僚経験者は『痛くもかゆくもないだろう』と指摘しています」

■なぜ軽い処分に?…「総裁選への協力を得ようとしているから」との分析も

鈴江キャスター
「なぜ、萩生田さんの処分は、軽いものになったんでしょうか?」

日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「その理由について、複数の自民党議員が『岸田総理サイドが、次の総裁選で、萩生田氏の協力を得ようとしているからだ』と分析しています。

そもそも岸田総理は処分判断の基準として『役職』・『不記載の金額』、そして『説明責任の果たし方』をあげていました。

萩生田氏はただ、
・安倍派では“5人衆”と呼ばれる幹部
・不記載の金額は2728万円と幹部では最多
・政倫審での説明は行わず

こういうことから、『示した基準とは違うではないか』という声も出ています」

■決定プロセス全体が“世間離れ”? 一般企業の場合…「経緯を解明しないで処分はできない」

鈴江キャスター
「処分への不満も多いようなんですが、そもそもこの“裏金事件”の実態解明が進んでいないなかで処分を決める、それだけで政治不信は払拭できるのかと疑問に思うんですが、どうでしょうか?」

日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「まさにそのとおりで、処分の線引きは“自民党内の論理”だと思います。そもそも、決定プロセス全体が“世間離れ”して理解が得られないという面があります。

一概に比較するのは難しいんですが、一般企業のケースと比べてどうなのか。企業統治などに詳しい久保利(くぼり)英明弁護士に話を聞きました。

『一般企業であれば、コンプラ違反があれば、経緯を解明しないで処分など到底できない』、『自民党は、スピード感が遅すぎる。一般企業なら、株価が下落する。こんなことはあり得ない』と指摘しています。

自民党執行部は、処分を決めることで“一定のけじめ”をつけたい考えでしたが、まだ混乱は続くことになりそうです」