“防衛増税”…プロセス「問題あったとは思わず」岸田首相
防衛費増額のための増税は、「国民への説明が足りない」との批判も出る中、16日、正式に決定されました。岸田首相は会見で、「今を生きる我々が対応すべきだ」と理解を求め、決定のプロセスについても「問題があったとは思わない」と述べました。
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日本の安全保障政策が大きく変わります。
防衛力強化の必要性を訴える岸田首相は、16日夜の会見で「我が国の周辺国・地域においても、核・ミサイル能力の強化、あるいは急激な軍備増強、力による一方的な現状変更の試みなどの動きが、一層顕著になっています」と述べました。
自民・公明両党は16日、来年度の税制改正大綱を決定。防衛費の増額に伴い、再来年度以降の増税で賄う“1兆円強の財源”が盛り込まれました。
法人税は、税額に4~4.5%の税率が上乗せされ、6000億円程度を確保します。
所得税は、復興特別所得税を延長した上で、税率2.1%を1.1%に引き下げて、この引き下げた1%分を防衛費にあて、2000億円程度を確保。
たばこ税は、1本あたり3円相当の引き上げを段階的に実施し、2000億~3000億円を確保します。
安全保障上の脅威は、身近にあるものとなっています。今年10月には、北朝鮮の弾道ミサイルが5年ぶりに日本の上空を通過しました。
岸田首相(16日夜)
「防衛力を抜本的に強化するということは、端的に申し上げれば戦闘機やミサイルを購入するということです。これを借金で賄うことが本当に良いのか」
岸田首相は、「防衛力の抜本的強化の裏付けとなる安定財源は、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が対応すべき」と強調しました。
ただ、今回、増税を決めるにあたり、自民党内から「拙速だ」などと批判が噴出しました。
岸田首相(16日夜)
「将来、国民の皆さんにご負担をいただくことが、明らかであるにもかかわらず、それを今年、お示ししないことは、説明責任を果たしたことにはならない」
――首相の方針と与党内・国民との意識の間にギャップを感じる、今回の決定プロセスに問題はなかったと思われるでしょうか?
岸田首相(16日夜)
「プロセスについて問題があったとは、思っておりません。引き続き丁寧な説明については、政府として心がけて実行していかなければいけない」
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そして、会見に先立ち、閣議決定されたのが「反撃能力の保有」を明記した安全保障関連3文書です。
立憲民主党の泉代表は「国民や国会に対して、情報共有・情報提供も説明も、そして論戦もない。チェックや監視が働かないまま、こうした方針が決定されるというのは、大変遺憾であります」と批判しました。
反撃能力の保有について岸田首相は「相手に攻撃を思いとどまらせる、抑止力となる反撃能力は今後、不可欠となる能力です。国民の命を守るために必要な措置、具体的にどうするかしっかり考えていきたい」としています。
(12月16日放送『news zero』より)