熊本市中央区役所 本庁庁舎と分離し花畑町別館跡地に移転させる方針を正式提示
耐震不足が指摘され、建て替えが検討されている熊本市庁舎の問題で、熊本市は16日、本庁舎と中央区役所の移転計画を正式に示し、計画の実現を目指す考えを明らかにしました。
熊本市の大西一史市長は、16日に開かれた熊本市議会の特別委員会で、本庁舎の移転先をNTT桜町ビルの敷地とした上で、中央区役所を本庁舎の建物と分け、花畑町別館跡地に建設する方針を示しました。そして、この計画の実現を目指す考えを明らかにしました。
■熊本市 大西一史市長
「新庁舎の整備を起爆材とした、 災害に強く、にぎわいにあふれ、熊本市の歴史や文化と調和した強くて魅力的なまちづくりを進めるにあたって、私が不退転の決意で取り組み、実現してまいりたい」
これまで熊本市が中央区役所の移転先として提示していたのは、現在の庁舎の隣にある「市の駐車場の敷地」と、「花畑町別館跡地」の2つの案でした。
熊本市は花畑町別館跡地を移転先とした理由について、2つの案を比較した場合、花畑町別館跡地は市の所有地のため土地取得の費用がかからず事業費が抑えられることや、浸水の深さを比較した場合、3メートルほど低く影響が少ないことなどをあげています。
■畑中香保里キャスター
「熊本市が市庁舎を建設する方針の桜町から歩いて5分ほど、約300メートルの場所が中央区役所の移転先です。現在は駐車場として活用されています」
市が示した方針についてまちの人は…。
■まちの人
「分けるのもあかもしれない。区役所は本庁舎と別の方が 便利な方が多いんじゃないでしょうか」
「今の本庁舎は駐車場が狭い。向こうの方が広くなるから使いやすそうなイメージ」
「いろいろ意見があることは知っているけど、何が問題なのかわかっていないです」
また16日の特別委員会では、委員から議論の内容の周知や市民との合意形成が足りないという指摘が相次ぎました。
■熊本市議会庁舎整備に関する特別委員会 田上辰也委員
「市民の胸にすとんと落ちる建て替え理由が明確になっていなのではないか」
■熊本市議会庁舎整備に関する特別委員会 西岡誠也委員
「市民のみなさんにも色々な意見があるようです。基本構想のほかに、もう少しわかりやすく数字を示して、建て替えなかった場合の金額を建て替えた時と比較しながら表すような表現をしていただきたい」
熊本市は、特別委員会の審議を踏まえ、9月の定例市議会に設計の委託費などにかかる予算を提案したいとしています。
【スタジオ】
(畑中香保里キャスター)
改めて熊本市の計画についてみていきます。中央区役所の「移転の案」は、これまで2つの案が議論されてきました。現在の庁舎の隣にある市の駐車場の敷地の案と、花畑町別館跡地の案です。本庁舎の移転を含む概算事業費は、それぞれ約629億円と約616億円です。
このうち、市の駐車場は、民間が所有している土地も含まれているため、購入費7.6億円や駐車場の解体費3.6億円などが必要で、約13億円高く試算されています。
熊本市は、国の合併推進債の活用に加え、今の庁舎の土地の売却益約133億円を充てることで、市役所駐車場は約263億円、花畑町別館跡地は約255億円と8億円安く抑えられると試算しています。
ただ、これは今の庁舎の土地の売却が前提となっています。今の庁舎の跡地の利活用は、これまでの議論の焦点でもありました。現時点で大西市長は、どのように考えているのか、聞きました。
【VTR】
■畑中キャスター
「現庁舎の場所を売却しないという選択肢もあるのでしょうか?」
■熊本市 大西一史市長
「必ずしも売却ということではなくて、例えば定期借地権付きで開発をするということもあり得るかなと思います。現庁舎跡地が更地になるのが9年後ぐらいなので、 今のスケジュールの見込みでいけば、かなりまだ検討するのに時間がありますので、一番市民の皆さんにとって有利な手法というのがどういうことかっていうのは、 これからよく検討して進めていきたい」
【スタジオ】
(畑中キャスター)
大西市長は、売却ありきではなく、議論を尽くしたいと答えました。ただ、売却しない場合は市の負担が増えることになります。また、資材の高騰なども今後、考えられますから、今回示された市の負担額がどうなるのか、注視していく必要があります。