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【衆議院選挙】結果を記者解説 「政治とカネ」が影響

2024年10月28日 20:08
【衆議院選挙】結果を記者解説 「政治とカネ」が影響
上野キャスター※以下、上)衆院選の結果について担当の神林記者です。今回の結果をどうみますか。

神林記者※以下、神)全国的には与党が苦戦し大きく議席を減らす中、県内の選挙区では自民党が3議席を守り、保守王国の面目を保ちました。

ただ富山1区では立憲の山さんに猛烈な追い上げを許し、比例復活当選を許すことになりました。

上)改めて富山1区の開票結果です。田畑さんと山さんの差はわずか738票。最後まで結果がみえない大激戦でした。

神)田畑さんは自身の政治資金問題の影響で思うように支持を集められず、前回3年前から2万5000票を落とす苦しい選挙戦でした。

また3期目を目指した無所属で前職の吉田豊史さんは支持が伸びず議席を失いました。

上)田畑さんの苦戦の要因についてです。

神)こちらはKNBの出口調査で自民党支持層が誰に投票したかです。

田畑さんは前回2021年は7割以上を固めていましたが、今回は5割余りからの支持にとどまりました。

一方、2割余りが山さんに投票しています。ここが選挙戦で苦しむ原因となりました。

こちらは、無党派層が誰に投票したかです。

山さんが5割近くの支持を集めた一方、田畑さんを支持したのは1割強にとどまりました。

田畑さんは、自身の政治とカネをめぐる一連の問題で比例重複が認められず、また、公認候補に決まったのは公示直前、連立を組む公明党からの推薦は公示2日前と支援体制づくりも遅れました。

本人がこれまでで「最も厳しい選挙」というように、有権者からの反応は厳しく、信頼回復を急いだものの、前回選挙よりも大きく票を落とし大苦戦となりました。

上)一方、立憲新人の山さんは富山1区で敗れはしたものの、比例復活で当選となりました。

神)政治とカネの問題で自民党が大きく揺らいだなか、政権交代や人に優しい政治を訴え、自民への批判票の獲得や保守層の切り崩しに成功しました。

こちらは山さんに投票した人が普段、どの政党を支持しているのかを示したグラフです。

立憲の支持層のみならず自民党支持層や無党派層からの支持も集めています。

続いて立憲の支持層が誰に投票したかです。山さんが全体のおよそ8割を固めています。

無党派層については5人の候補者の中で最も多い半数近くから支持を集めました。

無党派層の得票も集めることで、票の上積みにつながったとみられます。

一方で、候補者が5人と乱立し自民党や田畑さんへの批判票が分散した可能性もあり、小選挙区での勝利にはあと一歩届きませんでした。

上)そして富山2区は自民前職の上田英俊さんが2回目の当選です。

神)上田さんが前回選挙には及ばなかったものの着実に票を積み上げて野党候補を寄せ付けず、再選を果たしました。

こちらは、自民党支持層が誰に投票したかです。

逆風が吹く中でも、およそ8割が上田さんに投票していて、強い組織力を背景に組織票を固めたことがうかがえます。

上)そして富山3区では自民・前職の橘慶一郎さんが6回目の当選です。

神)これまで全国でも有数の得票を重ねてきた組織力を今回も生かしました。

こちらは橘さんに投票した人が普段、どの政党を支持しているのかを示したグラフです。

保守層が強い地域で自民支持層を中心に広く支持を集めました。

上)自民党が3議席を守りましたが、いずれの当選者も前回選挙から大きく票を落としましたね。

神)はい。自民党に対する逆風は保守地盤が強い富山でも各陣営の予想以上に大きかったとみられます。

上)そして、投票率です。過去3番目の低さでした。

富山1区が51.66パーセント、富山2区が54.00パーセント、富山3区が57.43パーセント、富山県全体では54.69パーセントで、前回よりおよそ1ポイント下がりました。

神)政治とカネをめぐる問題を受け有権者の間に政治不信が広がり、投票率低下につながった可能性があります。

今回の結果について自民党県連の幹部は、小選挙区で勝ったとはいえ党への不信感を払しょくできたとは言えないと話します。

自民党県連 宮本光明幹事長
Q(田畑氏が)当選したことで、みそぎは済んだと考えてよいか
「我々政治に関わっているものとしたら、国民の審判であるとか、有権者の審判というのは、これは一義的に非常に重いと思ってはいます。不断の努力は、積み重ねていくということだと思っているので、終わったとかという問題ではないと思います。ただやはりいつまでもお詫びだけをしていてもらっても、県政の発展や、国の重要課題の解決には結びつかないと思いますので、一つの区切りとしては受け止めています」

田畑陣営 中川忠昭総括責任者
「はっきり言えば、負けたと言っても過言でないと思うんですね。これからのことを考えれば、本当に自民党に期待をして、入れてくれたかというと、そうじゃないということなんです。おそらく2区3区にとっても、かなり票減らしてますしね。全くゼロからまたスタート、マイナスからのスタートかも分からない。そういうことを考えると大変な問題だと思いますよ。まさしく自民党の危機だね、これ」

神)裏金事件を受け自民党への支持が低下するなか、県内では立憲と国民が選挙区のすみ分けを実現し、連合富山が共闘体制を築いて一定の結果を残しました。

来年に控える参院選に向け各党の動きが今後さらに加速しそうです。

上)ここまで神林記者でした。
最終更新日:2024年10月28日 20:08
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