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記者解説)衆院選公示 富山県内3選挙区の構図と候補者の主張

2024年10月15日 20:25
記者解説)衆院選公示 富山県内3選挙区の構図と候補者の主張

上野キャスター)ここからは、衆院選県内3つの選挙区の情勢について、政治担当の神林記者とお伝えします。
今回の選挙、短期決戦となりました。

神林記者)今回の衆院選は首相就任から8日後の解散、26日後の投開票はいずれも戦後最短です。
しかも県内は、知事選とも重なったため、各陣営は選挙運動に制約を受けながら、対応に追われました。
最大の争点は、自民党の裏金問題を受けた政治改革で、有権者が自公政権を信任するかどうかです。

上)では、県内各選挙区の構図です。
まずは、旧富山市が選挙区の富山1区はどうでしょうか。
神)5選を目指す前職に前回の選挙では比例復活した前職1人と新人3人が挑む構図です。
今回、前職の2人はともに比例区での復活当選がない異例の状況です。
政治とカネの問題が深刻な政治不信を招いている中、どこまで票に影響が及ぶのか注目されます。

衆院選に初挑戦となる立憲民主党・新人の山登志浩さんは、「人への投資」を掲げ高校・大学の授業料、最低賃金1500円を実現するなどと訴えています。
立憲民主党は今回、国民民主党と候補者を県内の選挙区ごとにすみわけました。
ともに支持基盤とする労働団体・連合富山の支援を受け、5万票の獲得を目指しています。

前職の吉田豊史さんは選挙をめぐるトラブルにより党から除名処分を受け無所属での立候補となりました。
前回選挙のように比例復活はなくなりましたが逆に、政党に縛られず自由に主張できると話します。
減税による現役世代の負担軽減や国の特別予算の透明化などを訴えるとともに、自民党への批判票を集め、票の上積みを図ります。

5期目を目指す自民党・前職の田畑裕明さんは逆風の中での選挙です。
自らの政治資金をめぐる問題で党内からも批判の声があがり、公認候補に正式に決まったのは衆議院の解散直前でした。
連立を組む公明党からの推薦も決まったのはおとといでした。
さらに県内選挙区の自民党候補の中でただひとり比例代表への重複立候補が認められませんでした。
期間中は、構造的な賃上げなどを訴えるとともに、信頼回復に取り組みたいとしています。

日本維新の会・新人の浅岡弘彦さんは国政選挙に初挑戦です。
所得制限のない医療費・教育費の無償化や物価高対策としての社会保障費の免除や減額などを訴え政策の浸透を図ります。
4万票の獲得が目標で、自民党に批判的な保守層の受け皿となって支持を広げ、比例復活も視野にいれています。

共産党・新人の青山了介さんは衆院選に3度目の挑戦となります。
自民党の「裏金」事件への追及を強め、批判票を取り込む考えです。
企業団体献金の禁止や政党助成金の廃止を掲げていて、お金のかからない政治や命と暮らしを守る政治への転換を訴えています。
また、比例票の上積みも図る方針です。

上)続いて富山市の旧町村部や新川地区が選挙区の富山2区です。
神)前職に新人2人が挑む構図です。

共産党・新人の泉野和之さんは自民党派閥による裏金事件が最大の争点だとして、問題の追及や政治の転換を掲げています。
共産党が2区で候補者を立てるのは10年ぶりです。
自身が農家である立場から、今年全国的にコメ不足が起きたことを挙げ、価格保障や所得補償など農家が安心して生産できる政策を取り入れるべきだと訴えています。

衆院選2回目の挑戦となる立憲民主党・新人の越川康晴さんは内需拡大などの経済政策や政治改革の必要性を訴えています。
上田さんと一騎打ちだった前回選挙では4万票を獲得していて、陣営は地元魚津市だけでなく大票田の婦中地域にも新たに党組織を構え、支持を伸ばす考えです。
自民党派閥の裏金事件を追及し支持を呼びかけ、7万票の獲得を目指します。

2期目を目指す自民党前職の上田英俊さんは防災・国土強靭化の推進や子どもを産み育てやすい環境整備などを訴えています。
1期目の評価が問われる今回の選挙では、幅広く支持を集めるため選挙区内のすべての市と町で後援組織を生かした活動を行う方針です。
陣営は党への逆風は厳しいものがあるとしたうえで、前回選でのおよそ9万票を超える得票を目標としています。

上)そして県西部が選挙区の富山3区です。
神)前職に新人2人が挑む構図です。

6期目を目指す自民党の前職、橘慶一郎さんは、地方創生を訴えていく考えです。
今月1日発足の石破内閣では内閣官房副長官に就任しました。
自民党への逆風が吹く中、職務のため、選挙区を不在とすることが増える見込みですが、陣営は、全国有数の得票数を集めてきた支持基盤を引き締め票の積み上げを目指します。

国民民主党の新人大久保光太さんは党として県内初めての小選挙区の候補です。
経済政策と財政政策による所得向上や手取り額の上昇などを訴えています。
朝日町の出身ですが立憲との候補すみ分けで3区での擁立となりました。
街頭での活動などを通じて知名度アップを図っています。

共産党の新人、坂本洋史さんは衆院選に6回目の立候補です。
自民党の裏金事件を徹底的に追及し、石破政権の批判票の取り込みを狙います。
前回は、橘さんとの一騎打ちで、4万票あまりを獲得しました。
今回は、企業団体献金の禁止やジェンダー平等、核兵器の廃絶などを訴え、比例票の積み上げも図る考えです。

上)気になるのが投票率です。
神)前回3年前の投票率は富山1区が52.43パーセント、2区が54.22パーセント、3区が59.06パーセント。
県全体は55.68パーセントでした。
今回、知事選のほか高岡市では県議補選もあり、各陣営からは相乗効果を期待する声がある一方、政治とカネをめぐる問題により政治不信が高まる中投票率のさらなる低下を懸念する声も聞かれます。
今回の選挙は、発足したばかりの石破内閣にとって最初の国政選挙です。
人口減少や物価高、安全保障など問題が山積みとなる中、今後の国の針路を左右する重要な選挙です。
各候補者の主張に耳を傾けじっくり考えてみてほしいと思います。
上)エブリィではあすから各候補の訴えなどについてお伝えします。神林記者でした。

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