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【解説】新年度予算案巡る与野党協議の合意内容と背景…今後の行方は?政治ジャーナリスト・青山氏が詳しく

2025年2月26日 18:52
【解説】新年度予算案巡る与野党協議の合意内容と背景…今後の行方は?政治ジャーナリスト・青山氏が詳しく

(徳増ないる キャスター)
少数与党の石破政権は維新との予算修正で合意し、来年度予算の成立が確実となりました。ポイントをまとめます

(伊藤 薫平 キャスター)
合意内容の柱の一つが、「教育無償化」です。高校生の就学支援金は2025年度から所得制限をなくし11万8800円を支給、さらに2026年度からは私立高校でも全国平均額である45万7000円まで最大で引き上げるとしています。また、給食無償化は小学校で2026年度から実施し、中学校も速やかに実現。また「社会保障改革」では、保険料の負担軽減を実現に向け、「3党の協議体」を設置。維新が主張してきた、国民医療費を年間で最低4兆円削減することについては、「念頭に置く」という表現が盛り込まれました

(津川 祥吾 アンカー)
自民党、公明党、日本維新の会の3党の合意という形なんですが、この3党の合意については、特に教育の無償化は割と早く合意に至るのではないかと言われていましたが、青山さん、社会保障の改革の方で少し時間がかかったという印象ですか。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
そうですね。教育の無償化は、もちろん、日本維新の会は一丁目一番地に掲げてきたんですけれども、やはり、政府の本予算に賛成するというのは、神羅万象の政府がやろうとしていることに何でも賛成するということに近いわけで、教育無償化だけで、そんな判断を野党がしていいのかという党内の反発が強い中で、この社会保障改革についても、一定の譲歩を得たいということで、これで時間がかかったというのは間違いないですね。

(津川 祥吾 アンカー)
この社会保障改革、維新の側としては、これができることで、1人当たり6万円ぐらい負担が減ることを、一応、試算としては出していましたけれども、ただ、これ…最低4兆円というのを言っていますが、非常に気になるのが「念頭に入れる」という表現、要するに、いつやるかまだ分からないということですね。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
そうですね。教育無償化の方は、要は、集めたお金を教育の無償化に使うという考えですね。社会保障改革の方は、もう社会保険料を集めないという改革なんです。やはり、政府・自民党は、この「集めない」「減税する」といったことに対しては、非常にハードルが高いんですね。なので、この社会保障改革については、自民党内では、まだ、どうすると決めていないわけですので、今後、協議体を作る。そして「念頭に置く」というのは、前回自民、公明、国民の協議体で、「103万円の壁」を178万円まで「目指す」ことでは合意している。「目指す」よりも、さらに緩やかな表現といえます。目指すというのは、「一緒に目指す」ことですけど、「念頭に置く」は、『あなたが言っていることを私は覚えていますよ』というだけなんですね。そういう意味では、ここの書き方というのは、今後の協議の行方は、まだまだわからないぞ、ということだと思います。

(津川 祥吾 アンカー)
教育の無償化も社会保障改革も、数字は少し大きく見えるのですが、2025年度予算に関して言うと、公立高校の所得制限をなくすところだけですよね。ちょっと小粒なところで妥協したかな…という感じもするんですが。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
そうですね、これ…全体だと1000億ぐらいの財源で済むわけですね。そういう意味では、新たな赤字国債を発行する必要がないという、自民党にとってみれば、小規模な予算の組み替えで済むということで、合意しやすかったのは間違いないですね。ただ、やはり、今回、この合意に至った背景には、石破さんと、維新は共同代表が前原さんで、非常に仲のいい2人だったということで、私立高校の就学支援金も、もともと日本維新の会は63万円まで上げてくれと言っていたのが、45.7万円という、まさに私立学校の平均ということで抑えてくれた。これは、党内の反発もあったけれども、やはり、前原さんが石破さんと話し合って抑えてくれた。こういったことが、維新の会との合意に進んだことの大きな原因だと思いますね。

(徳増ないる キャスター)
一方で、国民民主党との「103万円の壁」の協議が続いていますが、これについて見ていきます。伊藤さん。

(伊藤 薫平 キャスター)
この「103万円の壁」を巡っては、先週、自民党が所得制限を設けて、非課税枠を最大160万円に引き上げる案を示しました。そのあと、公明党が、非課税枠を上乗せする対象というのを、年収850万円に拡大する、恩恵を受ける対象者が増える新たな案を示しているという状況です。最近は、いろいろな党の意見をよく聞くという感じにもなっていますが、こちら「天秤にかけ、安上がりな連携を選ぶ」とあります。少数与党となって迎えた国会で、石破首相が2025年度予算を通すために、野党との連携が不可欠という中で、どこと手を組むのか、維新なのか国民なのかということになっている状況で、国民が主張する「103万円の壁」を178万円に引き上げるのには7から8兆円、ガソリン暫定税率の廃止1.5兆円と、多額の税金が必要となるために、維新に歩み寄ったのではないかという見方もあるという状況です。

(津川 祥吾 アンカー)
予算に関してという話なんですが、一応、国民との三党協議に関しても今後、まだ、続けるということなんですが、青山さん、「壁」の問題はどうなりそうですか。

(政治ジャーナリスト・青山和弘さん)
ここはですね、今回、本予算には国民民主党との間で合意ができないと思うんですね。なので、この壁の協議というのは、一旦、決裂という状況になってくると思います。そのため、当初、今回の予算は、103万円を123万円まで上げるということで組まれた予算なんですね。それを、新たな、先ほどご説明いただいた自民党案、公明党案みたいなものまでするかどうか、まだ決まってないんですね。国民民主党との協議が決裂した以上、しなくてもいいという考えもできるわけなんです。ただ、これ、また新たな「壁」ができると榛葉幹事長(国民)も言っていましたけれども、非常に難しい案なので、これをやるかどうか。そして、これをやるためには新たな財源が1兆円くらいかかるといいますので、そこをやるかどうかというのは決まってないということになります。

(徳増ないる キャスター)
ここまで、国会の動きについて青山さんに聞きました。

最終更新日:2025年2月26日 18:52
    静岡第一テレビのニュース