【令和5年の皇室~“再開”進む年に】~宮内庁担当

(社会部 笛吹雅子)
■両陛下のご活動「再開」
2022(令和4)年の皇室の活動は、天皇皇后両陛下による新年ビデオメッセージで始まりました。コロナ禍で実施が見送られた新年一般参賀での天皇陛下のお言葉に代わるもので、前年に続いて2回目です。
陛下は「新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まり、皆さんと再び直接お会いできる日が来ることを心待ちにしています」と述べ、「本年が、皆さんにとって、明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできる良い年となることを、心から願っています」と語りかけられました。
皇后さまは「今年が、皆様にとって少しでも穏やかで、実り豊かな年となりますよう、心からお祈りしております」とメッセージを締めくくられました。
2022年は、両陛下にとって「再開」の年となりました。コロナ禍で控えていた地方への訪問が3年ぶりに再開され、「国民体育大会」で栃木県、「美ら島おきなわ文化祭」で本土復帰50周年を迎えた沖縄県、「全国豊かな海づくり大会」で兵庫県を訪問し、感染対策に気遣いつつ多くの人々と交流されました。
人が集まって密にならないよう、訪問される場所や時間は事前に知らされませんでしたが、両陛下に気付いた人たちが沿道に立ち始め、その数はどんどん増えていきました。
同行する記者は車列の後ろの方のバスから付いていくので、手を振る両陛下の車が通り過ぎた直後の沿道の人たちの表情がよく見えます。子どもを連れた家族が多い印象で、皆、顔が上気して笑顔になり、このひとときを「特別な体験」と感じているのが分かりました。
皇后さまは、大勢の人に笑顔で迎えられたことを「想像以上に嬉(うれ)しく、有り難いことでした」と振り返られましたが、両陛下は移動中、誰より間近に長く人々の表情をご覧になっているのだろうと思われます。
西村宮内庁長官は、2023年のご活動について「できるだけ現地に足を運ばれる方針」と話しています。
両陛下の即位後初の外国訪問は、亡くなったイギリスのエリザベス女王との悲しい別れとなりましたが、今後、外国訪問も再開されていく見込みです。5月に予定されているチャールズ国王の戴冠式は、どのような招待が届くかがまだ分からないということですが、イギリス王室との長い交流などを踏まえ、皇室からのご出席も考えられます。
また、両陛下は、6月9日に結婚後30年の「パール婚」を迎えられます。前例では、結婚30年にあたっては記者会見など特別な行事は行われていませんが、皇后さまが皇室に入り新たな歩みを始められた1993年6月9日を振り返りつつ、晴れやかな報道も増えそうです。