クラスに2~3人……“水が飲めない”子ども増加ナゼ? 「味がしないから苦手」「スポーツドリンクで」 水嫌いへの対応は
専門家によると今、「水が飲めない」という子どもが増えています。背景には新型コロナウイルスや熱中症への対策があるとみられます。スポーツドリンクのみでの水分補給には、注意すべき点もあります。水嫌いの子どもにはどう対応したらよいのでしょうか?
「新型コロナウイルスと熱中症の対策が要因とみられる驚きの事実があると、専門家が指摘しています。水が飲めない子どもが増えているといいます」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「水について調査・研究している、水ジャーナリストで東京財団政策研究所の橋本淳司さんが、幼稚園と小学校あわせて50校に聞き取りをしました」
「その結果、『水は味がしないから苦手』とか、『そもそも飲んだことがない』という子どもが増えていて、1クラスに2~3人程度いる状況になってきているそうです」
藤井キャスター
「味は好みですから、水が苦手という人が一定数いてもおかしくないとは思いますが、なぜ増えているのでしょうか?」
小栗委員長
「橋本さんは、新型コロナ・熱中症対策としての、子どもたちへの指導が影響していると指摘しています。新型コロナが流行した2020年以降、感染防止のため多くの学校で、校内の冷水器や水道から直接水を飲まないよう指導が進んだということです」
「実際、ある民間企業が小中校の子どもがいる親1321人を対象に調査したところ、43.2%がこうした指導があったと回答。このうち約3分の2は、コロナ以降にこうした指導が始まったということです」
藤井キャスター
「清水さんも子どもたちの指導をされていますが、どんな様子でしょうか?」
清水希容さん(空手家・五輪銀メダリスト・『news zero』木曜パートナー)
「空手を指導している現場で、水が得意ではない子がいますし、数時間練習していても500ミリの水を飲みきれない子が増えている印象です」
藤井キャスター
「それで脱水症状になっては危ないですね」
小栗委員長
「もう1つが熱中症対策です。今、文部科学省などが熱中症対策には経口補水液やスポーツドリンクを飲んだほうがいいというガイドラインを出しています」
「親や学校の先生などからこうした情報を聞いた子どもたちの間では『水よりスポーツドリンクが良い』という認識が広まっているようです」
「都内の小学校で担任をしている先生は『今は蛇口から水を飲む子どもは全く見ない』と話していました。また、保護者から『水筒にスポーツドリンクを入れていいですか?』と聞かれ、許可したこともあったそうです」
藤井キャスター
「水道水ではなく持ってきた飲み物で水分補給をする子どもたちが多くなってきているということですね」
小栗委員長
「ただ、スポーツドリンクは熱中症予防には優れていますが、注意しないといけない点もあります。赤坂ファミリークリニックの伊藤明子院長に聞きました」
「伊藤院長によると糖分が多く含まれているため、習慣的に飲むなど糖分の取りすぎになると血糖が上がり、けん怠感やのどの渇きなどの症状を引き起こすこともあります。そのため、うまく水と併用して水分補給することが望ましいとのことです」
「橋本さんは、水嫌いな子どもへの対応として、家族みんなで水を飲むことが有効だとしています。親と一緒に水を飲む機会をつくることで、水が苦手だった子どもも次第に飲めるようになるということです」
清水さん
「今紹介されたように、私も実際に運動を教える時は、水や麦茶、スポーツドリンクを併用して飲んでいます。15分や30分に1回は水分補給をすることを呼びかけるようにしています」
藤井キャスター
「梅雨も明けました。これから少し暑い日が続くと思います。水分補給をぜひ小まめにお願いします」
(7月18日『news zero』より)