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余った食材から“新発見”! おトクでおいしい…食品ロス削減

2023年5月30日 18:50

”ちょっとお得でおいしい”ーーー。そんな食品ロスを減らす取り組みが、いま注目されています。

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一見、香ばしく焼き上がったステーキ…。実は、肉ではなく、捨ててしまうことが多いえのきの“根元”でつくることができるといいます。

底の茶色い部分だけ切り、上のえのきが固まっているところは豚バラ肉を巻いて、バターで焼きます。蒸し焼きにしてしょうゆをかければ、「えのきのステーキ」のできあがりです。

料理研究家 島本美由紀さん
「うっすらついている線の上あたりを切り落としがちなんですけど、本来食べられない部分はだいたい1センチくらいです」

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国民1人あたりの食品ロスは「1日約113g」と、日本では毎日、1人あたりおにぎり1個分の食べ物が食べられるのに捨てられています。(※農林水産省・環境省 2020年度推計)

いま、捨てていた食品をおいしく“おトク”に楽しむ人が増えています。

東京・港区のホテルの朝食ビュッフェ。最後のお客さんまで料理をそろえておくと、“終了後”にはたくさんの残りが出てしまいます。

ホテル ザ セレスティン東京芝 元小出 満・総調理長
「もう廃棄ですよね」
「手間暇かけて手作りで全部作っているので、すごく心苦しいというか」

衛生上、残った料理はスタッフのまかないにもせず、個包装以外は全て捨てるのが社内ルールでした。しかし、そこで、“90秒以上の加熱”で衛生面の問題を解決できないか試行錯誤し、捨てる量を半分以下に激減させています。

ビュッフェの時間が終わると、ホテルのスタッフは、残った料理を次々とピックアップ。ビュッフェの残りで「お弁当」を作っていました。

スタッフ
「残った食材を無駄にならないように作る“お弁当”っていうことですね」

スタッフ
「90度のスチームをあてて、1分半加熱します」

元小出・総調理長
「殺菌効果もありますし、おいしさを再現させることもできます」

蒸気を使うことで、見栄えや味を損なわず“再加熱”することに成功。ビュッフェの残りで作ったお弁当やパンの詰め合わせとして、毎日2個ずつ前後を販売しています。(※本日のお弁当盛り合わせ:600円、 本日のパン詰め合わせ:500円)

使うのは、捨てられるはずだった食品を販売できる、食品ロス削減専用の「TABETE」というアプリです。“出品ボタン”を押した瞬間、あっという間に売り切れ、お客さんが受け取りに来るほどの人気ぶり。

購入した人
「ホテルの料理がお手頃に食べられるっていうのも、すごいいいことかなと思います」

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それでも、飲食店などで捨てざるを得ないのが、お客さんの「食べ残し」です。対策に乗り出す自治体も出てきています。

東京・多摩市のレストラン「フロリコ食堂」では、ランチにセットでつくパンを食べきれないお客さんも。店では衛生面を心配し、“持ち帰り”は断ってきました。

しかし、今では、続々と店内の“箱”を手に取り、パンを詰めるお客さんたちの姿がありました。

持ち帰りをする客
「持ち帰りました」
「子供が騒いで食べきれなかったんですけど、持って帰れると、家でゆっくり落ち着いて食べられるから」
「食べきれないものあるので、すごくありがたいです」

持ち帰り用の箱は、多摩市が希望する飲食店に配布したものです。店は、配布をきっかけに、持ち帰りについて保健所に確認。「お客さんの責任で、早めに食べてもらえば問題ない」と、先月から箱を設置しています。

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身近に広がる食品ロス削減の取り組みーーーー。家事の“時短”や、新たな“おいしさの発見”につながることもあるといいます。

たとえば、ピーマンの種を取り除く“一手間”が、もう要らなくなるかもしれません。

水洗いしたピーマンを丸ごと電子レンジで加熱すれば、ワタや種のほか、ヘタまで食べられるように。(※600Wの場合、4個で4分間)。ポン酢などで味付けするだけで、包丁もまな板も使わず、おひたしができます。

料理研究家 島本美由紀さん
「丸ごとかぶりついていただけます。苦みが和らいでいるので、甘く感じると思います」

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スーパーにも、手軽に食品ロスを減らせる商品がありました。千葉・富里市の「スーパーナリタヤ 富里店」にあったのは、漬物を作るときに出る大根の皮を揚げたチップスです。

試食してみると、大根の甘みも感じられ、サクサクと食べられました。

食品の宅配を手がける会社「オイシックス・ラ・大地」が注目したのが、商品を作る過程で捨てられる食材です。梅酒を漬けたあと残る梅のドライフルーツなど、これまで66種類の商品を開発してきました。

新たな生産工程が必要な分、課題もあるといいます。

買い物客
「手頃な値段だったら手を出しやすいですけど、ちょっと割高だと…」

オイシックス・ラ・大地 三輪千晴さん(アップサイクル担当)
「新しい味を楽しめるですとか、会話のきっかけになるというような」
「(他の商品との)価格差を、どう“他の魅力”でカバーできるか」

日本の食品ロスの量は2020年度で522万トンと、データを取り始めて以来で最も少なくなりました。会食の機会も増える今後、一人ひとりの“小さな心がけ”も必要になりそうです。