2年ぶり「コミケ」開催 11万人が集結
世界最大級のコミックマーケット、通称「コミケ」が年末、2年ぶりに開催されました。徹底した感染対策のもと行われた今回の「コミケ」。この日を待ちわびた参加者11万人が東京ビッグサイトに集結し、人気コスプレイヤーも参加しました。
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“聖地”東京ビッグサイトに帰ってきた年の瀬の祭典。2年ぶりの開催となった、コミックマーケット、通称「コミケ」。今回、入場は抽選制とし、2日間でおよそ11万人を動員しました。
コミックマーケット準備会 市川孝一共同代表
「いつもだと1日20万人とか会場に入るんですけど、しっかり国とか東京都、ビッグサイトの会場、ガイドラインを全て守るという形で、今回開催させていただいている」
コロナ禍では、国内最大級のイベントとなりました。入場前の検温はもちろん、参加者全員のワクチン接種証明や陰性を確認するワクチン検査パッケージを実施しました。さらに、参加者一人一人も対策を徹底しました。
カメラマン
「ありがとうございます。OKです」
撮影に応じているコスプレイヤーも、撮影が終わるとすぐにマスクを着用。会場内でも、サークルと呼ばれる個人の出店ブースがそれぞれ、自主的に消毒液などを設置していました。個人が作った漫画や雑誌、いわゆる同人誌を売るサークルが多くみられますが、本来、手作りであれば基本的に何を売ってもOKです。
コミケ歴20年以上 サークル店主
「オリジナルのデザインのサイコロです。100(種類)は超えてます」
手作りのアクセサリーなど、ここでしか手に入らない商品があるのもコミケの魅力です。“自由な表現の場”として様々な人を受け入れてきました。コスプレもその1つです。
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人気コスプレイヤーのえなこさん(27)。2年ぶりのコミケを待ちわびていました。
2019年のコミケで行われた撮影会では、えなこさんを中心に巨大な輪が出来上がり、“えなこウォール”と呼ばれ話題になりました。コスプレ界のカリスマ的存在で、去年、飾った表紙は70以上です。YouTubeやテレビなど、活躍の場をどんどんと広げてきました。
――「もうかってる」とか言われます?
コスプレイヤー えなこさん(27)
「言われますし『税金払え』とか言われます。払っとるわ!」
去年の年収は、なんと1億円を超えたといいます。そんな売れっ子となった今でも、コミケには毎回参加します。
その理由は――
コスプレイヤー えなこさん(27)
「高校生の頃から、居場所を作ってくれた大切なイベント。(コミケは)私の原点でもあるし、実家みたいな感じ」
2年ぶりに戻ってきた“原点”。今回、人を集めてしまう撮影会は辞退しましたが、久しぶりに、ファンやコミケ仲間と交流しました。
えなこファン
「ありがとうございます!頑張ってください!しげさんです」
コスプレイヤー えなこさん(27)
「あ!しげさん!」
コスプレイヤー えなこさん(27)
「いやーやっぱいいですね。去年とかほんとに結構メンタルやられてて、すごくつらかったので、実際に会うっていう大事さ、大切さが分かりました」
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長年、“交流の場”としても親しまれてきたコミケ。2年ぶりの対面を楽しむ姿もみられる中、参加を断念した人もいました。
小さな人形が並ぶサークルに置かれていた「私と人形」。その1ページ目には「コロナ禍の中直接の参加は叶わず、皆様にご挨拶出来ず残念でございます」と綴られていました。
綴ったのは、85歳の柏木千代子さん。
柏木千代子さん(85)
「皆さんに会いたいなって思ったんですけど、私の体が自由が利かなくなっちゃって、ビッグサイト(コミケ)行くことが、すごく楽しみで楽しみでね」
夫の嚴太さんと共に参加していた柏木さん。“コミケ最高齢”とも言われたサークルです。
そのサークルを、5年前に取材していました。
――何を売ってるんですか?
柏木千代子さん(当時80)
「和紙のお人形です」
――どなたが作ってるんですか?
夫・嚴太さん(当時84)
「私です」
――なぜコミケに参加しようと?
夫・嚴太さん(当時84)
「めいの紹介で」
売っていたのは、和紙で作ったひな壇など様々な人形です。1つ1つ細かなパーツまで、全て手作りだといいます。参加するきっかけを作ったのは、めいの真崎さんです。
柏木さんのめい 真崎春望さん
「(コミケに)誘ったら『そんな若い人が行くところに、俺行ってもいいのかな?』って。一緒に参加してもらうことになった」
それから20年以上、毎回参加していたといいます。
柏木千代子さん(85)
「皆さんに本当に声をかけられましてね、皆さんに会えることがうれしくて、うれしくて、疲れなんか忘れちゃって、家出るときから一歩が違うんですよ。最高!って」
この2年、コミケの再開を待ち望んでいましたが、その間に夫の嚴太さんは、この世を去りました。柏木さんは、今回のコミケでお礼を伝えるつもりでしたが、体調や感染リスクを考慮し、辞退することにしました。夫婦の思いを冊子に綴り、めいの真崎さんに託しました。
サークルを訪れた人
「あれ、前おじいちゃん、おばあちゃん来てましたよね?」
柏木さんのめい 真崎春望さん
「おじが去年亡くなったんです」
サークルを訪れた人
「え、そうなんですか?あの(高齢な)お2人でも参加できるんだって、私も勇気もらってたんで…」
多くの人に愛されていた2人。
柏木さんのめい 真崎春望さん
「今回改めて感じてるんですけど、みんなお人形を買いに来てくれる、それもあるけど、ただ単純に2人に会いに来てくれてたんだな」
柏木千代子さん(85)
「ビッグサイト行くってこと自体が、年2回うちの行事なんですよ」
柏木さんのめい 真崎春望さん
「また元気になって行きましょ」
全ての人が参加できることを願って、コミックマーケットは今年の夏、100回目の開催を目指します。