補修には資金が…老朽化した商店街のアーケード 撤去した商店街では…
雨に濡れずに買い物ができる商店街のアーケードですが、今、老朽化が問題となっています。一部が落下するなど危険な状態になったことから、アーケードを撤去する商店街も出てきています。
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温泉で有名な大分県別府市にあるアーケード商店街「楠銀天街」。長年、雨風から買い物客らを守ってきたアーケードが今、地元住民の悩みの種となっています。
近隣住民
「天井はかなり傷んでますから、気をつけないと危ない点はありますね」
現在も商店街で店を営業する人は…
大分・別府市「楠銀天街」で店を営業する人
「風が強い日とか、上の部品とかがたまに落ちてきたり。営業中に外からパリンって音がして、見るとガラスの破片が落ちていたり」
大分・別府市「楠銀天街」で店を営業する人
「子供たちの通学路にもなっているので、かなり危なくなってきている。店舗がなくなって、どんどん錆びてきたので」
それもそのはず、柱の一部は根元が錆び、屋根から流れ落ちる雨水を流し込む「雨どい」は機能せず、地面には水たまりができていました。
千代町自治会長 木下勇さん
「こういうところが全部落ちたんですね。鉄板が落ちたんですね」
アーケードの老朽化により建物の一部が落ちてしまうなど、危険な状態となってしまっています。
およそ70年前の昭和28年からあるというこのアーケード商店街。今は空き店舗が目立ち、管理団体の資金不足などの影響で対策がとられないまま、今にいたっているといいます。
千代町自治会長 木下勇さん
「住民の方からなんとかしてほしいと要望が上がって、アーケードを撤去するか、補修するか、検討をしようじゃないかと」
8月から、今後の商店街のあり方を考える話し合いを市と共に開始しました。まずは危険な部分を取り払い、今後の活用方法を考えていくということです。
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実際に老朽化したアーケードの撤去を決め、変化する商店街もありました。
愛媛県松山市にある商店街「松山市駅前商店街」では、5日からアーケードの撤去作業を開始しました。
松山市駅前商店街会 澤井善一郎会長
「(老朽化は)一刻も争うレベルで心配な種となっておりました。耐震の心配もありますし、その関係で早めの対応が必要」
駅近くにある商店街は長さ、およそ250メートル。駅前の再開発により整備され、今年の11月には商店街のアーケードの撤去が完了する予定だといいます。
商店街の会長でもあり、自身も大判焼き店を経営している澤井さん。趣のあるアーケードとの別れは少し寂しさもあるといいますが…
松山市駅前商店街会 澤井善一郎会長
「町並みがきれいに統一されます。足を運んでいただけるようなきっかけになったりとか。頑張っていこうと思います」
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一方、今年7月にアーケードの撤去を完了した神奈川県横須賀市の商店街「上町銀座商店街」では、意外な現象が起きていました。
上町銀座商店会 高梨治会長
「アーケードをとったことによって、とても外観がすっきり見えるようになって。建物の価値がみなさまに見ていただけるようになった」
“看板建築”という、木造建築の表面に銅板などを張って作られた建物が多く並ぶこの商店街。アーケードが撤去されたことで“看板建築”が見やすくなり、写真を撮りに訪れる人が増えたと話します。
アーケードと共に過ごしてきた、祭りの衣装を取り扱う店の店主は…
みどり屋 山田義明さん
「新しい流れなのかなと。若い方が新しい風を商店街の中に連れてきてくれて、また新たな解釈で新しい商店街をつくっていけるのかなと思っています」
撤去のきっかけとなったのは3年前の大型の台風です。老朽化したアーケードの一部が落ちるなど、危険な状態となったことで市から補助金をもらい、撤去に踏み切ったといいます。
上町銀座商店会 高梨治会長
「文化的歴史的な意味でも、この街をアピールしていけたらいいなと思います」
今後、市と共に歴史ある街づくりを打ち出していきたいということです。