福島・川内村に移住し「生花店」オープン “花のチカラ”発信 「花があるところに人は集まる」
福島県は浜通り・中通り・会津という3つの地域から成り立っていて、広大な土地と標高差のある多様な気候を活かし、年間を通して高品質な花の栽培が行われています。
その自然やそこに住む人々に惹(ひ)かれ、福島県川内村に移住し、生花店を営む女性がいます。福島から、“花のチカラ”を発信し続ける思いを聞きました。
今月1日、福島・田村市の船引高校で、卒業式を目前に控えた生徒たちが目を輝かせながら選んでいたのは、色とりどりのコサージュです。
「これにしよう。これ、かわいい」
「おそろっち?」
存在感のあるピンクのバラは富岡町、花弁が幾重にも連なっているラナンキュラスは南相馬市と、ほとんどが地元・福島県で栽培された花です。
ハレの日に彩りをそえた花を準備したのは、福島県・川内村で唯一の花屋を営む、福塚裕美子さん(38)です。
「何もない、ただの土地やったんやけど、なんかひかれて…ここで花屋建てたら、ガーデンつくったら、すてきやろうなと思って」
福塚さんは、店頭販売のほかに、川内村以外への花の配送も行っています。
福塚さん
「いろんなお花ミックスにした。いろんなの入ってるから」
「かわいい~」
その人柄からか、いつも笑顔で迎えられていました。
「福ちゃん…“破天荒”。なんか悩み事とかあっても、福ちゃんに言うと、ぜんぶポーンってなるから。ぜんぶ笑い話にしてくれるから、なんかいいよね」
福塚さん
「お互いさまで」
住民と気さくに話す福塚さんですが、川内村で生まれ育ったわけではありません。
出身は大阪。生花店のアルバイトをきっかけに、花の魅力にどんどんのめり込み、そして…
福塚裕美子さん
「どこかで、自分のお店をもつのが私の夢でした。まさか、川内村で花屋をやることになるとは」
川内村に移住するきっかけになったのが、東日本大震災――。
当時、一緒に働いていた同僚が川内村出身で、震災から5か月後に一緒に訪れました。
福塚裕美子さん
「人の背丈くらいの雑草が一面生えているような田んぼの風景で、彼女がそれ見て悲しんだから、この風景を取り戻す手伝いをしようって」
一時、全村避難を余儀なくされ、風景が一変した川内村……。
2012年に「帰村宣言」が出されたタイミングで、福塚さんは川内村に移住しました。
そして、2年半の花の移動販売を経て、いまから3年前に、夢だった自分の店「fuku farming flowers」を川内村にオープン。