プラごみどうする?海外では厳しい法規制も…容器持参でごみを出さない量り売り
私たちの生活にあふれるプラスチックごみ。中でも食品を購入した時のプラスチックトレーや容器は、かさばるばかりか、なかなか減らせないのが現状です。容器を持参して「量り売り」で食品を購入する。こんな買い物の仕方を広げる企業が地球のために考える提案とは?
■プラごみ排出量1人あたり約60キロ
プラスチック循環利用協会によると、2020年のプラスチックごみの排出量は約800万トン。私たち1人あたりに換算すると約60kgになる計算です。
その約半分は、ペットボトルや弁当パック、洗剤のボトルといった包装や容器などのごみが占めているのです。
■容器持参で量り売り。ごみを出さない買い物とは?
食品を購入する時に新たに出るごみを減らせないか?この問題を解決しようと実践している店があります。「nue by Totoya国分寺店」です。
この店ではパスタからしょうゆ、オリーブオイルや大豆ミートまで販売。客は容器を持参して、量り売りで購入。プラスチック容器やトレーといった包装材を使うことはありません。
量り売りの購入は20g以上から可能。持参した容器のグラム数を自分で計量して、好きなものを必要な量だけ、セルフサービスで容器に詰めていきます。
レジで、持参した容器の重さを申告すると、店員が購入した食品のグラム数で値段を教えてくれます。
店舗スタッフの水藤仁美(すいとう・ひとみ)さんは、「ごみが出ないお買い物って、買い物しているときも気持ちが良いけど、家に帰ってからも本当に気持ちが良いということを実感してほしいです」と話します。
■実は「ずぼらな人にぴったり」量り売りは、帰宅後ラクチン!?
この店舗を経営するのは、無駄なごみを出さない“ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)”な買い物を提案している「斗々屋」。代表を務めるのは梅田温子(うめだ・あつこ)さんです。
普段は面倒くさがり屋だと話す梅田さん。ごみを出さない食品の買い物をすれば、帰宅後食品はそのまま冷蔵庫や棚に入れるだけ。ごみとなるトレーや容器を洗ってリサイクルに持って行くよりも合理的だと話します。
梅田さん
「容器さえ持って行けば、ごみもゼロだから、ごみの日に出さなくていいし分別もしなくていいし。家に帰った後は楽なんです。意識高い人がやってるって思われますけど、めちゃくちゃずぼらな人にぴったりなんですよ」
■「ごみを出さない買い物」カギは行政と大企業の改革?
梅田さんは19歳でフランスに渡り料理人として働いた後、2005年からはオーガニックの食材やワインの輸入会社を立ち上げました。
食品を販売する時に、日本の消費者向けに量を小分けにしたり、パッケージのかわいさで勝負したりしていることへの違和感が斗々屋を始めたきっかけでした。
梅田さん
「生産者さんたちは手間暇かけて農業されているのに、そういう人たちに、“このハーブティー100gでは売れないので、30gにパッケージし直して、かわいいラベルつけて売れるようにしてほしい”とか言ってる仕事って、自分でやりたいことじゃないなって思ってきて、それで事業を立ち上げました」
梅田さんは、食品の販売で、ごみを増やさないためには、「行政や大企業が率先して変わることが課題」だといいます。
■フランスは法律で脱プラ推進!日本どうする?
現在もフランスに住んでいる梅田さん。フランスは、行政が法律による規制を行うことで、脱プラスチックを推進、加速させているといいます。
ジェトロによると、フランスでは「2030年から400平方メートル以上のスーパーは、売り場面積の20%を包装のない量り売り販売とする」ことが法で義務づけられています。
さらに2040年までには、プラスチック包装の市場投入を禁止するとしていて、すでに今年1月からは、日本では当たり前に見られる野菜や果物のプラスチック包装が禁止対象となっています。
梅田さん
「なるべく早くごみを減らすことを考えると、規制かなと思っています。法律で整備したら企業が(プラスチック製品を)作るのをやめるので、消費者は別に何も考えてなくても、もう手に取れないわけです」
一方、環境省に法規制について聞くと、「量り売りや包装の簡素化の推進は、我々もそういう立場ですが、日本では衛生面や商慣習の問題もあるので、すぐにEUのような取り組みをするのは難しいのではないかと思っています」と話します。
しかし、こうしたプラスチック削減の動き自体には、「3Rの中でも、洗浄したり、リサイクルにエネルギーがかかったりしない“リデュース”は最優先としているので、もとから包装をしないのはプラスチック削減に有効だと思う」としています。
※3Rとは リデュース、リユース、リサイクルの3つのRの総称
■大企業に期待する販売方法見直しのススメ
ごみを減らすために「量り売りをやってみたい」という企業のコンサルティング事業にも力を入れている梅田さん。
今年に入ってから、大手百貨店や行政と組んで、期間限定のポップアップ店舗を続々と開催。
「量り売り」導入の第一歩として、客層や環境問題への関心度をデータ集計するサポートをしているといいます。
梅田さん
「私たちみたいな小さい会社が努力してノウハウを積み立てて、大企業さんに共有するわけですけど、本当は大企業が変わっていって広まる方がもっと早く日本は変われると思います」
この記事は、日テレのキャンペーン「Good For the Planetウィーク」(グップラ)の一環で取材しました。
日本テレビ系列では、5月29日~6月5日を地球のためにいいことを考える『Good For the Planetウィーク』として、様々な番組や発信を通して、地球のため、暮らしのためにいいことを皆さんと一緒に考えます。
これにあわせて、日本テレビ報道局は様々な「地球や社会にいい取り組み」や実践者を取材し、記事を発信していきます。