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ウクライナ侵攻に感染拡大 “海外依存”リスクで“国産回帰”の動き

2022年5月26日 21:20
ウクライナ侵攻に感染拡大 “海外依存”リスクで“国産回帰”の動き

ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、日本が多くを輸入に頼っている商品が入りづらくなっています。こうした中、海外依存へのリスクから生産拠点を国内に戻す“国産回帰”の動きが広がっています。

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東京・立川市にある輸入チーズ専門店のショーケースには、ゴーダやブルーチーズなどおなじみのものから、珍しいものまで約70種類が並んでいます。そのほとんどが、店がこだわって選び抜いた、ヨーロッパ産のチーズです。そのような店を今、悩ませていることがあります。

チーズ王国 フロマジュリーヒサダ 宮田さつき営業本部部長
「商品が確保できれば今までは、輸入できていたんですけど、飛行機の数が少なくなってからは(輸入が)すごく難しくなりました」

これまで週に1度はチーズを空輸していましたが、航空機の便数が減り、仕入れが難しくなっているというのです。

その理由の1つが、ロシアによるウクライナ侵攻です。航空機がロシアの領空を飛べなくなり、迂回(うかい)を余儀なくされた結果、直行便が減ったり、運賃が高騰したりしているといいます。

日本で消費されるナチュラルチーズの8割以上が外国産のため、影響は広がりそうです。

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改めて浮き彫りとなった“海外依存”のリスク。

1990年代、日本企業は、円高コストの回避や安い人件費を求め、こぞって生産拠点を中国などに移しました。しかし、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻で、海外からの輸入が滞る事態に直面し、そのリスクが明らかになりました。

25日、東京・北区にある家電量販店を訪ねました。先月中旬ごろから一部商品の入荷が滞り、品ぞろえに異変が起きていました。

ジョーシン王子店 瀬名波恵未さん
「上海ロックダウンの影響で、ということで」

中国のロックダウンにより、現地に工場があるパナソニックの電子レンジや日立の洗濯機の生産がストップしました。その影響で現在も入荷のメドがたたず、売り上げ的にも大きなダメージを受けているということです。

こうした中、日本企業では、生産拠点を国内に戻す、“国産回帰”の動きが活発になっています。

マスクの国内生産で話題となった「アイリスオーヤマ」は、中国で生産している家電の一部を国産とするべく、約100億円を投じて岡山県に工場を建設予定です。

また、アパレルメーカーの「ワールド」は、3年から5年をメドに百貨店向けブランドの国内生産を半分以上に引き上げる方針を打ち出しています。

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こうした中、海外にも愛用者が多い化粧品の「資生堂」は26日、新たな工場をお披露目しました。

資生堂 魚谷雅彦社長
「日本発のジャパニーズブランドの価値としては、日本で製造する。そして海外に届けていくと」

資生堂は2019年、36年ぶりに国内に工場を建設し、そこから2年あまりで国内工場の数を「倍増」させました。“国産回帰”の動きについて魚谷社長に取材しました。

資生堂 魚谷雅彦社長
「『(日本は)品質とかの高さは世界一高い要求水準だ』ってよく言われます。そういったことが実現できるものが、やはりここ(日本)にあるのに、それが海外に移転してしまうというのは、日本の空洞化みたいになるんじゃないかなと」

改めて品質の高い、“メイドインジャパンの資生堂”を全面に押し出す狙いがあるといいます。生産拠点が整ったことで、数年後には国内生産を2倍近くにすることも視野に入れています。

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国内生産の拡大が、コスト増加ではなく日本の競争力の強化につながるのか、企業に期待が高まります。

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