【解説】老朽化…首都高速「高速大師橋」あすから架け替え工事 “年末年始並み”の渋滞に宅配便が遅れる可能性も
5月26日は東名高速道路が全線開通した日です。開通からの50年間での経済効果は約60兆円にのぼるという一方で、今、問題となっているのが老朽化です。首都高速1号羽田線の「高速大師橋」は27日から架け替え工事が行われ、混雑が予想される区間もあります。
●大都市結ぶ“大動脈”
●老朽化する高速道路
●“年末年始並み”渋滞も
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
今から54年前の1969年5月26日に、東京と名古屋を結ぶ東名高速道路が全線開通しました。全長は347キロメートルで、東京・神奈川・静岡・愛知の1都3県を通る首都圏と中京圏を結ぶ大動脈となっています。
当時、足柄サービスエリア付近で盛大な式典が開かれ、この高速道路を一目見ようと、多くの人が集まりました。
日本で初めて全線が開通した高速道路は、名古屋と神戸を結ぶ名神高速道路です。1965年に開通しました。その後、東名高速道路が開通したことによって、東京・名古屋・大阪と3大都市圏がつながったわけです。
大都市への交通の便が良くなったため、物流が活発になったり沿線に企業が進出したりと、日本の経済成長に大きな影響を与えました。
NEXCO中日本によると、東名高速道路が整備されたことによる経済波及効果は、開通からの50年間で約60兆円にのぼるといいます。
高速道路はここから全国各地に広がっていき、現在、総延長は約9200キロメートルにも及ぶということです。地球の約4分の1周分に及び、東京からロンドンぐらいまでの距離だといいます。
一方で、開通から50年以上たった今、問題となっているのが老朽化です。これまでNEXCO3社と首都高速、阪神高速の5社は、約5兆4000億円をかけて改修工事を行っていました。
しかし、その後の点検で、「コンクリートの浮き上がり」「腐食」「ひび割れ」といった損傷が確認され、新たに改修が必要な箇所が約550キロ判明したということです。そのため、約1兆5000億円もの改修費用が新たにかかるとしています。
そもそも高速道路は、建設費などにあてた分を高速道路料金で回収したら、無料になる前提でつくられていたそうです。
政府はこれまで、2065年までを有料化の期限としていました。しかし、各地の高速道路で老朽化している箇所が多数判明し、大規模な改修工事が必要になったことから、その財源を確保するために有料の期限を2115年まで延長することになったのです。
首都高では27日から工事が行われる区間があり、注意が必要です。
東京と神奈川の都県境にある多摩川にかかる首都高速1号羽田線の「高速大師橋」は老朽化のため、27日から架け替え工事が行われます。
この工事にともない、27日午前5時から来月10日午前5時まで、横羽線の「大師出入口」から羽田線の「平和島出入口」の区間と、同じく羽田線の「昭和島ジャンクション」から湾岸線の「東海ジャンクション」までの区間の上下線が通行止めとなります。
これらの通行止め区間は、地図上で確認すると「ここだけか」と思うかもしれません。ただ、1番混雑する時間帯の午後4時~午後7時では、広い区間での渋滞・混雑が予想されています。
期間中、首都高や通行止め区間周辺の一般道路では「年末年始並み」の混雑が予想されているということです
例えば、神奈川県の「生麦ジャンクション」から「大師出口」までの区間は約10キロの距離で、通常なら最大30分で行けるところです。しかし、通行止め期間中は、通常の5倍以上の最大2時間半かかるとの予測が出ています。
ヤマト運輸は東京・神奈川・千葉の一部で、佐川急便は東京・神奈川・埼玉・千葉の一部で、荷物の配送の遅れが生じる可能性があるとしています。
通行止めは羽田空港の近くなので、飛行機の利用にも注意が必要です。バスの運行会社や航空会社は、高速バスなどの遅れや時間変更などに注意を呼びかけています。
また、電車やモノレールに切り替える人が多く見込まれることから、通常時以上に電車なども混雑する可能性があるということです。
首都高は車の利用を控えるほか迂回ルートの利用、混んでいる時間帯を避けるなど混雑緩和への協力を呼びかけています。
(2023年5月26日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)