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人間魚雷「回天」で犠牲に、亡き兄の手紙

2012年6月10日 13:46
人間魚雷「回天」で犠牲に、亡き兄の手紙

 太平洋戦争末期に開発された、敵艦に突撃する人間魚雷「回天」で兄を亡くした姉弟が先月31日、出撃直前に兄が書いた手紙を寄贈するため、基地のあった山口・周南市の大津島を訪れた。

 回天は太平洋戦争末期の特攻兵器で、爆薬と一緒に乗り込み、敵艦に突撃する目的で開発され、搭乗して出撃した若者106人が亡くなっている。このうち、回天に乗り込んだ本井文哉さん(享年19)は大津島の発射基地から出撃し、45年1月12日、太平洋上で敵艦に突撃して亡くなった。

 本井さんの妹・昌さん(84)と弟・文昭さん(72)は先月31日、出撃直前の本井さんが文昭さんに宛てた手紙を寄贈するため、回天訓練場があった大津島に渡った。昌さんは新潟県で暮らし、文昭さんは46年前からアメリカ・ニューヨークで暮らしている。

 文昭さんは「私も姉も年を取っていますし、あと何年かと思うと、できる時に無理をしてここを訪れたいと。ただそれだけです。私だけが持つ手紙じゃなくて、全ての人に読んでいただきたい。後世の人を含めて。そういう意味でここにお願いに上がりました」と話す。

 「ニイサンノブンマデ オトウサマ・オカアサマニ ゴコウコウシテクダサイ。ソレガ ニイサンノ カタキウチニナルノデス(原文ママ)」-手紙は記念館で保管・展示され、来館者に平和の尊さを訴える。