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「デートレイプドラッグ」を数分で判定 警視庁捜査一課が全国で初めて薬物検査キットを開発

2023年4月26日 15:24
「デートレイプドラッグ」を数分で判定 警視庁捜査一課が全国で初めて薬物検査キットを開発
性犯罪捜査用薬物検査キット「D1D plus」

性犯罪の捜査を担当する警視庁捜査第1課の捜査員の熱い思いが、全国初となる性犯罪捜査用の薬物検査キットの開発を実現させた。

開発された検査キット名は「D1D plus」(ディーワンディー プラス) 「デートレイプドラッグを捜査一課が断ち切る」という思いを込め、デートレイプドラッグの頭文字「D」の間に捜査1課を表す「1」が入った名前になっていて、試験運用段階から反応する薬物数が増えたため「plus」がついている。

■気がつかず被害のケースも…「デートレイプドラッグ」とは

加害者が相手の意識や抵抗力を失わせて性的暴行に及ぶことを目的に、飲食物に混入させる睡眠薬などのことを「デートレイプドラッグ」と呼ぶ。警視庁管内でデートレイプドラッグを使用した犯罪被害は、ここ数年、年間で20件前後確認されていて、ことしはすでに10件以上の被害が確認されている。

「飲食後に急な睡魔に襲われた」「朝起きたら記憶がなくて衣服に乱れがあった」こうした違和感から被害に気がつく人もいるが、記憶がないためにそもそも被害にあったことに気づいていない人も多いと言われている。

■わずか「数分」で薬物使用の判定が可能に

「D1D plus」は被害者から採取した尿を検査キットに滴下するだけ。キットの線の出方によって薬物使用の有無が分かるようになっている。

これまでは被害の相談を受けた時に被害者の尿を鑑定に出し、薬物使用があるかどうかを判定していたが、結果が出るまでに場合によっては1か月ほどかかっていたという。しかし「D1D plus」を使った簡易鑑定であれば、わずか数分で薬物使用の有無が判定可能。

「D1D plus」の運用開始により、薬物が使用された可能性がすぐにわかるため、防犯カメラなどの初動捜査を早い段階から進めることができるという捜査上のメリットはもちろん、最初の段階で薬物による被害だとわかればその被害者にあった被害者支援ができ、被害者の精神的負担を軽減させるという被害者支援面のメリットがあるという。

■「1人でも多くの性犯罪の被害者を減らすという思いで考えた」

この検査キットを開発したチームのリーダーで警視庁捜査1課で性犯罪捜査を担当する警部は、キット開発までの経緯をこう話す。

「相談に来た被害者の方は、薬物が使用されたのか、それとも自分のお酒の飲み過ぎなのか、どちらかわからないことで気持ちが落ち込み、自分自身を責めてしまう人も多いです。やっぱり事件にしたくないと考える人もいて、そういう方から捜査協力が得られないという事案もありました。そうした状況に直面する捜査員の間で、『相談に来てもらった時に、その場で薬物の使用有無を簡易鑑定できる検査キットがあれば、早期の犯人検挙だけでなく、適切な被害者支援にも繋がるのでは』という声があがったのが開発のきっかけです」

短時間で、できるだけ精度が高い判定結果を出すために協議を重ね、構想期間は1年半。ことし4月1日から本格的な運用を開始し、警視庁管内の97警察署にキットの配布を完了している。

試験運用が開始された昨年12月1日以降で、すでに10件以上の使用実績があり、知人女性の飲み物に睡眠薬を混入させて犯行に及んだとする事件では、このキットで薬物使用が陽性となり、初動捜査にすぐに進められたため、逮捕に至ったという。

すでに実績を残している「D1D plus」。ある捜査幹部は、「『D1D plus』を運用することで1件でも多く犯人を検挙して、デートレイプドラッグを使用した性犯罪をなくしていきたい」と話す。

冒頭で述べた通り、被害に気がついていない人も多いデートレイプドラッグを使用した性犯罪。警視庁では24時間対応可能な性犯罪被害者の相談窓口を設けていて、少しでも被害が疑われる際には悩まず、まずは相談してほしいと呼びかけている。

警視庁性犯罪被害相談電話:#8103

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