通信制高校の生徒を支援する"サポート校"JRが通学定期券の発売廃止?なぜ?【#みんなのギモン】

通信教育などを使って単位を取得できる「通信制高等学校」。そこに通う生徒が、学習面や生活面で支援を受けられるのが"サポート校"と呼ばれる民間施設です。この"サポート校"に通う子どもをもつ母親に届いたのは、「4月1日から通学定期券が使えなくなる」という連絡。これまで使えていた通学定期券、なぜ廃止が検討されているのでしょうか?
(日本テレビ調査報道班・前田怜佳)
■定期券の料金が3倍に…
神奈川県に住むヤマナカさん(仮名)。
通信制高校に通う高校2年生の息子がいます。
ヤマナカさん
「高校1年生の時は全日制高校に通っていましたが、体調を崩して去年11月から通信制高校へ通うようになりました」
最初はオンラインで授業を受けていましたが、通信制高校と提携している"サポート校"にも少しずつ通うように。現在は週3日から5日"サポート校"に通っているため、通信制高校の許可を得て、半年分の通学定期券を購入しました。
しかし。
ヤマナカさん
「2月末に、通信制高校から『3月いっぱいで通学定期券が使えなくなる』と手紙がきたんです。使っている通学定期券は払い戻して、通勤定期券を購入してほしいということでした」
通っている"サポート校"は自宅から2駅のため、通学定期券であれば半年分で約1万円。通勤定期券に変わると約3万円になるといいます。
ヤマナカさん
「突然の連絡で使えなくなるのはびっくりしました。通信制高校はなんらかの理由で全日制高校に通えなくなった人も多いんです。息子も"サポート校"のおかげで通えるようになったのに、劣等感を覚えてしまいます」
■通信制高校と"サポート校"とは?
自宅などでの学習で単位を取得できる通信制高校。不登校で学校に通えなくなった子どもたちの受け皿にもなっていて、2024年度の在席生徒数は29万87人と過去最多を更新しました。
"サポート校"とは、この通信制高校の卒業に向けた学生の支援を行う民間施設です。単位を取得するためのサポートだけでなく、生活面の支援などもしていて、不登校の場合、外に出るきっかけになる場所だといいます。
■通学定期券使えなくなる…理由は"サポート校"の位置づけ変更
これまで、通信制高校などに許可を得た上で申請すれば、"サポート校"に通うために使うことができていた通学定期券。なぜ使えなくなるのでしょうか。その理由は、法改正で"サポート校"の位置づけが変更されたことにあります。
文部科学省は、これまで通信制高校以外の施設(分校・面接などに協力する協力校・サポート校など)を、すべて「サテライト施設」と総称していました。しかし、それぞれの施設の位置づけを明確にするため、法改正されることに。成績評価や単位認定などの業務ができる施設(分校・協力校など)を「面接指導等実施施設」、それ以外の施設(サポート校)を「学習等支援施設」と分類しました。(2022年4月施行)
この法改正をうけて、JR各社は通学定期券についてのルールを変更。通学定期券は「指定高校を卒業するため」に発売しているものとして、発売対象を「面接指導等実施施設」のみとしました。その結果、「学習等支援施設」である"サポート校"は、通学定期券の発売対象外となったのです。
■"サポート校"は塾?賛否両論
ネット上では「"サポート校"に通う生徒も通学定期券の発売対象にしてほしい」との署名活動が広がり、27日時点で7500人以上が賛同しています。「引き続き通学定期券を発売してほしい」という声が多い一方で、「サポート校は塾と同じ扱いなんだから、定期券が出るのはそもそもおかしい話」という意見も出ていました。
息子が通信制高校に通うヤマナカさんは。
ヤマナカさん
「サポート校は塾の扱いで、通学定期券が出るのはおかしいという意見も理解できます。ただ、通学定期券で通える範囲を考えてサポート校を選んでいる人もいます。せめて今使っている定期は使えるようにしたり、半年ほど猶予がもらえたりすればと思っています」
文部科学省は、JR各社の対応に対し、「今後も"サポート校"についても通学定期券を適用できるよう配慮してほしい」と伝えているということです。
また、JR各社はこうした様々な意見をふまえ、現在、ルール変更の時期の見直し(延期)を検討しているということです。
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