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ジャニー氏性加害“誰も止められなかった”構造とは 「マスメディアの沈黙」指摘重く受け止め 日本テレビもコメント

2023年8月30日 5:54
ジャニー氏性加害“誰も止められなかった”構造とは 「マスメディアの沈黙」指摘重く受け止め 日本テレビもコメント

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長による性加害問題で、再発防止特別チームは29日、性加害はあったと認め「多くのマスメディアがこの問題を報道しなかった」と指摘しました。

■マスメディアの沈黙…ジャニー氏の性加害“誰も止められなかった”構造とは

有働由美子キャスター
「改めて、今回公表された調査報告書です。ジャニー前社長の『性加害はあった』として、その原因は、ジャニー氏の性嗜好(しこう)異常、姉のメリー氏による放置と隠ぺい、ジャニーズ事務所も『見て見ぬふり』に終始していた、などを挙げています。

その背景には、同族経営で誰も止められなかった、そして“マスメディアの沈黙”、問題を正面から取り上げてこなかったということを指摘しています。小野さん、私たちメディアの大きな責任も問われています」

小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「はい。過去に週刊誌が報じてきたのに、多くのマスメディアは取り上げてこなかった。調査報告書には、次のように書かれています」

●ジャニー氏の性加害を取り上げて報道すると、ジャニーズ事務所のアイドルタレントを自社のテレビ番組等に出演させたり、雑誌に掲載したりできなくなるのではないかといった危惧から、ジャニー氏の性加害を取り上げて報道するのを控えていた状況があったのではないか。

●(上記のようなこともあって)ジャニーズ事務所は当該性加害の実態を調査することをはじめとして、自浄能力を発揮することもなく、その隠ぺい体質を強化していったと断ぜざるを得ない。

●その結果、ジャニー氏による性加害も継続されることになり、その被害が拡大し、さらに多くの被害者を出すことになったと考えられる。

■“3月のBBC動画”報道しなかった日本テレビ 「性加害などの人権侵害あってはならない」とコメント

有働キャスター
「具体的で、厳しい指摘です」

小野解説委員
「重い指摘です。日本テレビはコメントで『ジャニー喜多川氏による性加害の事実について、〈マスメディアが正面から取り上げてこなかった〉などの指摘を重く受け止め、性加害などの人権侵害はあってはならないという姿勢で報道してまいります』としており、私自身も重く深く受け止めています。

報告書の中でも指摘されていましたが、今年3月にイギリスのBBCがジャニー氏の性加害についてのドキュメンタリー動画を配信したのですが、その際にも私たち日本テレビでもこの動画についてニュースなどで取り上げることをしませんでした」

■相互チェックで再発防止 ジャニーズ問題きっかけに 社会全体で人権を守る構造に

有働キャスター
「調査チームは再発防止策も提言しましたね」

小野解説委員
「はい。踏み込んだ提言でした。再発防止策として、事務所は事実を認めて謝罪をすること、被害者救済措置制度を構築すること、そして、ジュリー氏は代表取締役社長を辞任すべきである、また、メディアと対話して相互に監視・けん制する関係で人権侵害の再発を防止していく、といったことが挙げられています」

職場における性被害に詳しい日本女子大学の大沢真知子名誉教授は、今回の報告書を評価しています。

大沢真知子名誉教授
「ジャニー氏個人を断罪して終わりでなく、それを見逃していた経営者に責任があり、さまざまな構造的な問題があったことを報告書は指摘している。ジャニーズの問題をきっかけに、 日本社会全体で人権を守れる社会・企業の構造について考えていかないといけない」

■“外圧からしか変わらない日本”が浮き彫りに… どうやって抜本的な変化を?

有働キャスター
「落合さん、この再発防止策では、利害関係のある企業がなれあうのではなく、互いにチェックする体制に、ということなんですが、どうすればいいと思われますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「これ、結構考えたんですけど日本のマスメディアに利害関係がない企業がほとんどないので、本当に難しい問題だと思います。メディア含めた日本社会は基本的に忖度で成り立っているので、利害関係のある企業がお互いにチェックするようになるのは、このままでは難しいかなと思います。

改めて、日本社会は外圧からしか変わらないことが今回のことで浮き彫りになったと思います。たとえば、BBCが扱わなかったらいまの状態は起きなかったし、もし、日本のメディアが本気で変わろうとするならば、経営陣に外国出身者など日本の“なれあい文化”に絡め取られない人が入るとか、そういう抜本的な変化がないと難しいな、とは思います」

   ◇

有働キャスター
「私自身も、メディアに身を置く1人の人間として、こうして指摘を受ける前に、行動を起こさなかったことを恥ずかしいと思っています。

海外の人権問題は徹底的に批判するのに、もっと近くにあった問題はちゃんと取材して知ろうとしませんでした。きょう『マスメディアの沈黙』と指摘されましたが、私も含めたメディア1人1人に突きつけられている問題です。

なぜ沈黙してしまったのか、重く問われているという覚悟のもとに向き合っていきたいと思います」

(8月29日放送『news zero』より)