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ジュリー氏の「辞任」提言…当事者からは“反対”の声 「職責全うの中でまだ見ぬ被害者と向き合って」

2023年8月30日 5:48
ジュリー氏の「辞任」提言…当事者からは“反対”の声 「職責全うの中でまだ見ぬ被害者と向き合って」

ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長による性加害問題で、再発防止特別チームは29日、会見を行い、ジャニー喜多川前社長による性加害を認定した上で、藤島ジュリー景子社長の辞任を提言しました。この辞任の提言について、当事者からは“反対”の声も聞かれます。

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被害を訴える元ジャニーズJr.の当事者たちは、会見をどのように見たのでしょうか。

12歳でジャニーズ事務所に入所し、13歳の時に性被害にあったという橋田康さん(37)。

――「調査報告書」への受け止め

元ジャニーズJr. 橋田康さん(37)
「気持ちがしっかりくみ取ってもらえた会見・提言だったかなと。僕自身が告白してから今日まで『うそだ』とか『証拠がない』とか言われて、なかば犯罪者みたいな感覚に陥っていたので、今回、事実認定の部分で払拭されてうれしさはありますけど『これからだな』という気持ちがあります」

橋田さんも特別チームが発足してすぐに、ヒアリングを受けたといいます。

元ジャニーズJr. 橋田康さん(37)
「ほとんど組み込んでくださったかなと。きちんと受け止めて厳しい提言にして発信してくれて、(提言を)ジャニーズ事務所がまっすぐ受け取って、まっすぐ発信してくれることを願ってます」

――ジュリー氏が「性加害の疑惑を認識していた」と認定

元ジャニーズJr. 橋田康さん(37)
「ちゃんと提言してくれることがしっかりと会社自体が立ち直っていく、今いるタレントたちも苦しまない1つのきっかけになっていくのかなと」

ただ、「ジュリー氏は代表取締役社長を辞任すべき」とする提言については、反対だといいます。

元ジャニーズJr. 橋田康さん(37)
「“辞任することで責任をとります”というのは確かに重要で、必要なことかもしれないけど、『やめたからもういいでしょ』というのは違うなと思う。ジャニーズ事務所がきれいになるためにできることはたくさんあると思うので、事実認定としてきちんと認めてくれるのはジュリーさんであってほしい」

性加害問題をめぐってジャニーズ事務所側に対応を求めてきた「当事者の会」の副代表を務める石丸志門さん(55)も、会見を聞いた1人です。

「当事者の会」 石丸志門副代表(55)
「性加害があったことは大前提として認められたと、全ての起点になると思います。『謝罪と救済がなければならない』と明言、これは非常に大きな転換点だと」

ただ、石丸さんも“ジュリー氏の辞任は求めていない”といいます。

「当事者の会」 石丸志門副代表(55)
「辞任を勧告したという点では、重く受け止めたという点で評価はできると思う。退任して無罪放免になるような形はあってはならない」

そして、今後予定されているジャニーズ事務所の会見に求めることを聞きました。

「当事者の会」 石丸志門副代表(55)
「具体的にどういう方法で救済するか、あとは事実認定の方法とか、細かいところを具体的に会見開いて説明責任果たしていただきたい」

また、30年以上もの間、被害を訴えてきた「当事者の会」の平本淳也代表にも聞きました。

「当事者の会」 平本淳也代表
「ヒアリングの時にお三方にお伝えした希望含めて、ほぼ全て受け入れてくださってる。それが提言書にまとめられていることにおいて、率直に言えばうれしかった、安心した」

――「ジュリー社長の辞任を求める」という提言については

「当事者の会」 平本淳也代表
「1点そこだけ、僕が反論したかったのは。求めていない部分、一番そこは。対処してこなかった責任は少なからず、逃れられない。職責全うの中で整理しつつ、まだ見ぬ被害者と向き合ってもらいたい」

――告発して30年以上でようやく…思いは

「当事者の会」 平本淳也代表
「35年…思えば長かったですね。今までメディアが取り扱ってくれなかった。それ以前に誰の関心も受けられなかった」

――ジャニーズ事務所に求めること

「当事者の会」 平本淳也代表
「提言受けたことについてストレートに真摯に受け止め、事実認定とその上で謝罪。それをストレートに発言してくれるだろうと期待しています。ジャニーズ事務所本体が認めてくれること、謝罪してくれること。被害者に謝罪したいなら、被害者を前にして謝罪の言葉がほしい」

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特別チームの会見では、「メディアの沈黙」も指摘されました。29日夜、日本テレビはコメントを発表しました。

日本テレビのコメント
「本日、故ジャニー喜多川氏による所属タレントらへの性加害の事実が認められたとする調査結果が公表されました。日本テレビはジャニー喜多川氏による性加害の事実について、『マスメディアが正面から取り上げてこなかった』などの指摘を重く受け止め、性加害などの人権侵害はあってはならないという姿勢で報道してまいります」

「また日本テレビは、取引先であるジャニーズ事務所に対し、被害者の救済と再発防止に取り組むよう求めるとともに、人権を尊重した企業活動に努めてまいります」

再発防止のための提言がなされた今回の会見を、企業のリスク管理に詳しい専門家はどのように見たのでしょうか。

桜美林大学 西山守准教授
「ここまで突っ込んだ提言がされるということに驚いた。(性加害が)あったという事実認定がされている。これは非常に大きい点だと思う」

“踏み込んだ内容だった”と評価した上で、さらに調査が必要だと指摘しました。

桜美林大学 西山守准教授
「全容解明には至ってないのかなと。おそらく今後も被害者の方々は名乗り出てこられると思うので、引き続き調査は必要になってくる」

提言を受けたジャニーズ事務所については、次のように指摘しました。

桜美林大学 西山守准教授
「事務所側は提言を全て受け入れざるを得ない状況かなと。これを無視するとか、ないがしろにするといったようなことがあると、やはり世論は許さないと思いますので。(被害者に対し)金銭的な面とメンタル面と両方の補償が必要になる。今後どう調査していき補償をしていくのか、企業としてどう謝罪していくのか、これからの課題になってくる」

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ジャニーズ事務所に対し「深刻なガバナンス不全」を指摘した特別チームは、提言の最後を次のように結びました。

再発防止特別チーム  林眞琴座長
「この特別チームの提言をジャニーズ事務所が積極的に受け入れて再発防止策の全てを実施・実現することによって、今回の件を契機に再出発を果たしていただきたいという思いでございます」

「むしろ今回の件を契機に、ジャニーズ事務所が率先して積極的にエンターテインメント業界全体を変えていくという姿勢で臨んでいただきたいと考えております」

(8月29日放送『news zero』より)

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