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“現社長も認識”と認定 ジャニー喜多川前社長“性加害”…再発防止特別チームが認定 メディアの責任も厳しく指摘

2023年8月30日 5:44
“現社長も認識”と認定 ジャニー喜多川前社長“性加害”…再発防止特別チームが認定 メディアの責任も厳しく指摘

ジャニー喜多川前社長の「性加害問題」で29日、再発防止特別チームが会見で、性加害は「あった」と認定しました。現社長も取締役に就任ごろから「性加害の疑惑を知っていた」と認定。さらに、メディアの責任についても厳しく指摘しました。

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ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長の「性加害問題」。

29日、外部専門家による「再発防止特別チーム」が調査報告書を公表。チームの中心となった前検事総長の林眞琴座長、精神科医の飛鳥井望氏、臨床心理士の齋藤梓氏の3人が会見に臨みました。

再発防止特別チーム 林眞琴座長
「ジャニーズ事務所は、組織としてジャニー氏の性加害が事実として認め、真摯(しんし)に謝罪することが不可欠であると」

ジャニー氏による性加害は「あった」と認定したのです。

被害者や事務所関係者など41人にヒアリングを行い検証。約70ページにわたる調査報告書には、「1970年代前半から2010年代半ばまでの間、多数のジャニーズJr.に対し、性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる」「被害者のヒアリングからは、少なく見積もっても数百人の被害者がいるという複数の証言が得られた」といった記載もありました。

再発防止特別チーム 飛鳥井望氏
「長期・広範にわたることを考えれば、少なくとも数百人という被害者の数は不自然じゃない」

聞き取った証言の中にも「『性加害を受け入れると仕事もくれるんだ。上り詰めていくには積極的にジャニー氏を受け入れないといけないんだ』という洗脳された状態になった」といったものもありました。

「特別チーム」も調査報告書の中で「経営トップでもある芸能プロデューサーたるジャニー氏が、未成年のジャニーズJr.の生殺与奪の権を握る絶対的な立場を利用して、ジャニーズJr.に対する性加害を行っており、ジャニーズJr.がそれを拒むことも、また、被害者として相談・告発することも極めて困難であった」と指摘しました。

再発防止特別チーム 林眞琴座長
「一連の性加害は、ジャニー氏が被害者の心情につけ込んで行った」

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この問題をめぐっては、今年3月にイギリスのBBCが、被害を受けたという男性らを取材したドキュメンタリー番組を放送しました。

4月には元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトさんが顔出し・実名で告発しました。

元ジャニーズJr. カウアン・オカモトさん(今年4月)
「合計で15回から20回ほどジャニーさんから性的被害を受けました」

5月には、藤島ジュリー景子社長が動画で謝罪しました。

藤島ジュリー景子社長(今年5月)
「深く、深くお詫び申し上げます」

「再発防止特別チーム」の設置などを発表しました。

カウアンさんや(元ジャニーズJr.の)橋田康さんらは、子どもを性被害から守るための法改正の必要性を訴え、約4万人の署名を国会へ提出しました。

今月には、来日した国連人権理事会の作業部会が会見を行いました。

国連人権理事会の専門家
「タレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれているという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」

これに被害を訴えていた当事者らが涙を流す場面もありました。

関心が高まる中、「特別チーム」は29日、性加害を認定しました。大きなポイントの一つは、藤島ジュリー景子社長が「ジャニー氏の性加害を知らなかったのか」という点です。

再発防止特別チーム 飛鳥井望氏
「(ジャニー氏の性加害について)ジャニーズ事務所が見て見ぬふりに終始していたことなどが、被害の拡大を招いた大きな要因となったものと考えられます」

調査報告書では、ジャニー氏の姉・故藤島メリー氏を「最高権力者」だったとして、「メリー氏が何らの対策もとらずに放置と隠ぺいに終始したことが、被害の拡大を招いた最大の要因である」と明言。めいで現社長の藤島ジュリー景子社長は、今年5月のコメントでは「知らなかったでは決して済まされない話だが、知らなかった」としていましたが――

再発防止特別チーム 林眞琴座長
「ジュリー氏は、取締役就任時にはジャニー氏の性加害の疑惑を認識していたと認められます」

特別チームは藤島ジュリー社長も取締役に就任したころから「性加害の疑惑を知っていた」と認定。同族経営の弊害を防止し、解体的出直しをするため、藤島ジュリー景子社長の辞任を提言したのです。

再発防止特別チーム 林眞琴座長
「ジュリー氏が経営のトップのままでは、このジャニーズ事務所が再出発することは極めて困難である」

そして、性被害が拡大した背景として“名指し”したのは――

再発防止特別チーム 林眞琴座長
「マスメディアから強い報道、批判等が出ていれば、おそらくジャニーズ事務所もその時に対応を変えたかもしれない」

「マスメディアの沈黙」と称してメディアの責任についても厳しく指摘しました。

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今回の報告書では、ジャニーズ事務所がとるべき対応としての提言も行っていました。

【提言したジャニーズ事務所がとるべき対応】
◇被害者救済の補償制度を作る
◇“企業の模範” 人権方針を国内外に公表
◇外部から人権に関する専門家を採用 CCO(=チーフ・コンプライアンス・オフィサー)を設置
◇メディアと対話し相互に監視・けん制
など

――事務所側は(報告書に)どのような反応?

再発防止特別チーム 林眞琴座長
「データを送らせていただきました。従いまして、その時の反応とか、そういうものはございません」
「特別チームは、謝罪と救済、これなくして今後、再生をはかることは難しいと考えています」

ジャニーズ事務所は、調査報告書の公表を受けて日本テレビの取材に対し「外部専門家による再発防止特別チームからの提言、および会見内容を真摯に受け止め、今後に予定をしております弊社による記者会見にて、その取り組みを誠心誠意ご説明させていただく所存でございます」と回答しました。

(8月29日放送『news zero』より)

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