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工事開始?根拠消失?普天間移設問題の展望

2015年1月1日 10:34

 アメリカ軍普天間基地(沖縄・宜野湾市)の移設問題は今年、埋め立て工事が始まるか、それとも工事の法的根拠がなくなるかという大きなヤマ場を迎える。

 政府は昨年夏、移設先とされる沖縄県名護市辺野古の海兵隊キャンプ・シュワブ周辺の埋め立てに向けた海底のボーリング調査を始めたが、作業は昨年11月の沖縄県知事選挙や総選挙を挟んで中断し、当初の予定よりも大幅に遅れている。防衛省は年明けにもボーリング調査を再開した上で、新年度には埋め立ての本体工事にも着手したい考えだが、基地のゲート前での座り込みや海上での阻止行動など住民の激しい抵抗が続いており、作業が順調に進むかは不透明だ。

 沖縄では昨年、1月の名護市長選、11月の知事選、12月の総選挙の全小選挙区で「辺野古移設反対」を掲げた候補者が当選していて、辺野古移設に反対する強固な民意が築かれている。辺野古の埋め立てを承認した仲井真前知事を破って当選した翁長知事は、年明けにも専門家らによる第三者委員会を設置して、前県政による埋め立て承認の経過を検証し、その結果を受けて承認の「取り消し」や「撤回」に踏み込む考えを示している。

 仮に沖縄県が承認の「取り消し」や「撤回」を行った場合、政府は辺野古で工事を進める法的根拠を失うことになるため、県を相手取った裁判などで対抗していくことも予想される。翁長知事は今後、日本政府に普天間基地の閉鎖・返還と辺野古移設の断念を強く求めていく一方、新年度にはアメリカ・ワシントンに県の出先機関を開設してアメリカ政府や連邦議会などへの働きかけも強めたい考えで、国連への要請も検討している。

 辺野古移設が普天間問題の「唯一の解決策」とする安倍政権と沖縄の民意のかい離はかつてなく大きく、辺野古移設が進むのか、頓挫するのかは予断を許さない。