猛暑そして深まらない秋~2024年の高温記録をふりかえる~
年平均気温1位の地点が続出か?
2024年の1年を通した平均気温は、前年(2023年)に続いて、平年を大きく上回る地点が多い見込みです。福岡、高知、広島、大阪、名古屋など、西日本から東海にかけての主要都市では、観測史上1位の高温記録を更新するとみられ、東京も1位タイの高温となる可能性があります。新潟、仙台、青森、札幌など北陸から北日本にかけても、2023年に次いで2位の高温記録となるとみられます。100年以上の観測の歴史のある気象台で1位・2位の記録が続出するほど2024年は記録的な高温でした。また、記録的高温が2年続いていることは異常と言えそうです。都市化の影響が小さい日本国内15地点平均の年平均気温は、2018年以降、基準値(1991~2020年)より0.5℃以上高い状態が続いており、2024年の気温は、前年に続いて1.0℃以上高くなりそうです。
【2024年の年平均気温(これまでの最高)】
札幌 10.6℃(11.0℃ 2023年)
青森 12.3℃(12.6℃ 2023年)
新潟 15.2℃(15.4℃ 2023年)
仙台 14.9℃(15.0℃ 2023年)
名古屋 17.9℃(17.5℃ 2023年)
東京 17.6℃(17.6℃ 2023年)
広島 18.0℃(17.6℃ 1998年)
大阪 18.4℃(18.0℃ 2023年)
福岡 19.0℃(18.5℃ 2023年)
高知 18.7℃(18.2℃ 1998年)
那覇 24.4℃(24.4℃ 1998年)
※2024年の気温の数値は12月中旬までの実況に12月下旬の平年値を加味して算出したものです。年末の寒さにより数値がこれより低くなる可能性があります。
2月下旬から3月上旬にかけての寒の戻りの影響を受け、西日本・東海・関東のソメイヨシノの開花は、多くの地点で平年より遅くなりました。3月下旬から4月にかけては、全国的な高温傾向の影響を受け、桜前線は加速しながら北上しました。北陸・北日本では、平年より早い開花となり、札幌や函館では、平年より10日以上早い4月18日に「ソメイヨシノ開花」が発表されました。4月の平均気温は87地点(全国の57%)で観測史上1位となり、2位および3位を合わせると149地点(97%)にも及びました。
夏の暑さも顕著で、7月の平均気温は62地点(41%)で1位、8月は51地点(33%)で1位の記録となりました。7月29日には、古河(茨城)、佐野(栃木)、伊勢崎・館林(群馬)、熊谷(埼玉)、天竜(静岡)で最高気温が40℃以上となり、8月4日には、猛暑日がアメダス301地点(全国の33%)にも達しました。太宰府(福岡)では、7月19日から8月27日まで40日間連続で猛暑日となりました。
秋になっても厳しい残暑が続き、なかなか秋が深まりませんでした。9月は91地点(59%)で1位の記録となり、10月については139地点(91%)で1位の記録となりました。なお、10月は全国153か所の気象官署(気象台やかつて測候所がおかれた観測所)のすべてで、1位・2位・3位の記録となりました。記録的高温が局地的なものではなく、全国に及んでいたことになります。
2024年は、日平均気温が平年を上回る日が多くありました。札幌では、平年より3.0℃以上高かった日が97日(27%)、平年より0.1~2.9℃高かった日が150日(42%)ありました。合計すると約7割の日が平年を上回ったことになります。東京では、平年より3.0℃以上高かった日が119日(34%)、平年より0.1~2.9℃高かった日が147日(41%)ありました。合計すると4日に3日は平年を上回っていたことがわかります。福岡でも、平年より3.0℃以上高かった日が103日(29%)、平年より0.1~2.9℃高かった日が168日(47%)ありました。合計すると東京と同様に4日に3日は平年を上回っていたことになります。
2024年を気温の面で振り返ると、冬の寒さは早く終わり、春は3月下旬から季節先取りの高温となり、夏は梅雨の期間から蒸し暑くなりました。7月から8月は猛暑に見舞われ、9月も残暑が厳しく、夏が長く感じました。その後も秋が深まらず、各地の紅葉は遅れ気味でした。12月になってから高温傾向は解消しましたが、一年を通してみれば、平年よりも暖かな日・暑い日が多かったことになります。
極端な高温は、農作物の生育に影響を及ぼし、病害虫の大発生の原因になることもあります。経験したことのないような猛烈な暑さによって、熱中症患者が急増するおそれもあります。2025年も高温傾向が続いてしまうのか、注視しておく必要がありそうです。
※日平均気温の平年差の階級別日数については12月20日までのデータを用いています。※気象庁の観測データを参考にしました。