国内で初の死者“原因不明”子ども急性肝炎 新型コロナなどが関係?気をつけるべきことは…
原因不明の子どもの急性肝炎により、国内で初めて1人の死亡が確認されたことがわかりました。この肝炎では、A型からE型まで5種類の肝炎ウイルスがどれも体から検出されないといいます。最新の調査結果などについて詳しく解説します。
■「原因不明」子どもの急性肝炎 新型コロナ・アデノウイルスが関係?
有働由美子キャスター
「原因不明の子どもの急性肝炎。肝臓の機能が低下して、皮膚が黄色くなったり(黄だん)、腹痛があったり、高熱が出たりするのですが、国内で初めて1人の死亡が確認されたことがわかりました。年齢など詳しいことは公表されていません」
「もともとはイギリスやアメリカなどで2022年と2021年、1000人以上の報告が相次いだので厚生労働省が調べたところ、先月までに全国で162人の報告があり、その中に亡くなった人がいたということです。去年からずっと『原因不明』だと言われて気になりますが、原因はやっぱりわからないのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「原因がどこまでわかってきたのかを調べてみました。通常は肝炎といえばA型、B型…E型まで5種類の肝炎ウイルスがあります。それがどれも体から検出されないのです。では、どのようなウイルスが検出されたかというと、比較的多いのは、腸などに感染症をもたらすアデノウイルスです。それと新型コロナウイルスです。最新の調査では、いずれも約1割の患者から見つかったということです」
有働キャスター
「新型コロナも関係している?」
小野委員
「そうみられるということです。ここで気になるケースがあります。去年、アメリカで取材した女の子、リヴィアさん(当時4)です。黄だんの症状が出ていました。目が黄色になり、オレンジ色の尿も出たといいます。病院では原因不明の急性肝炎だと診断されました。リヴィアさんの場合は、肝臓を移植する手術まで行って回復しました。リヴィアさんは新型コロナ抗体検査で陽性でした。担当した医師は『新型コロナとの関係は否定できない』と話しています」
■複数のウイルスが同時に検出?
小野委員
「もう1つが、アデノウイルスが関係しているという見方です」
有働キャスター
「アデノウイルスといえば胃腸炎などで聞きますが、前からあったウイルスですよね」
小野委員
「はい。ただ、イギリスの専門誌「ネイチャー」に寄せられた論文では、急性肝炎になり、かつアデノウイルス検査で陽性となった子どもたちを調べたら、複数のウイルスが同時に体内にあることがわかりました。これによってウイルスが増殖、パワーアップして肝機能に障害をもたらしたとの見方があるのです」
■日常的に気をつけることは…
小野委員
「『日本では過度に心配しない方がいい』と専門家は話しています。埼玉県立小児医療センター岩間達医師は『原因は特定できていないが、仮にアデノウイルスが関係していても、もともと日本にあるウイルスだから、新型コロナのように海外から日本へ入ってきて、それが感染拡大することにはならないだろう』と話していました」
有働キャスター
「とはいえ、私たちが日常的に気をつけられることはあるのでしょうか?」
小野委員
「これも岩間医師に聞きました。『どんなウイルスかは関係なく、手洗いやうがいなどの基本的な対策は続けるべき』と、これがまず第一ですね。そして、『肝炎では発熱、倦怠(けんたい)感、食欲がなくなる、腹痛などの症状があるが、さらに黄だんがあれば病院に行くべき』と話しています」
(4月3日放送『news zero』より)