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【解説】愛知で7歳の女の子死亡 “虐待通告”でも相次ぐ死亡事件

2024年7月18日 19:33
【解説】愛知で7歳の女の子死亡 “虐待通告”でも相次ぐ死亡事件

今年5月、愛知県犬山市の7歳の女の子が死亡し、女の子の母親と内縁の夫が死亡に関与したとして逮捕された事件の経緯を整理します。

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警察によると、逮捕された内縁の夫の倉田凱容疑者(32)が島崎奈桜ちゃん(7)に暴行を加えたとされるのが、今年5月24日の午後8時40分頃から25日の午前7時40分頃までの間です。

その1時間後から奈桜ちゃんは島崎みなみ容疑者に腹痛を訴えたり、おう吐をしたりしたということです。しかし、島崎容疑者は奈桜ちゃんを病院には連れて行かず、自分の実家を訪れていました。

児童相談所によると、奈桜ちゃんはずっと島崎容疑者に体調不良を訴えていましたが、翌日26日の午前8時40分、意識がもうろうとなり、心肺停止の状態で病院に搬送され、その後、死亡が確認されたということです。

死因は腹部に暴行を受けたことによる敗血症性ショックでした。その後、病院から「体に複数のアザがある」などの通報を受け、警察が捜査していました。

しかし、今回の事件前にも、奈桜ちゃんに対する虐待の疑いがありました。医療機関や保育園が虐待の疑いがあると児童相談所に通告していたんです。

これを受け、児童相談所は2回にわたり奈桜ちゃんを一時保護していました。

児童相談所が虐待などを把握したものの、結果、子どもの命を救えなかった事件は後を絶ちません。

2019年、千葉県野田市で当時10歳の女の子が死亡した事件では、当時41歳の父親と当時31歳の母親が逮捕されました。事件の前、女の子は学校のいじめ調査に「父親にいじめられている」と訴え、児童相談所に一時保護されていましたが、児童相談所は翌月に保護を解除。その約1年後に女の子は亡くなりました。

去年2月には、2022年4月に神奈川県藤沢市で当時2歳だった男の子に暴行を加えたとして、27歳の母親が逮捕されました。児童相談所は、妊娠中の定期健診を受けていないなどの理由から虐待が疑われるとして、男の子を生まれてすぐに一時保護。その後、母親に引き取られました。

さらに今年1月、青森県八戸市では当時5歳の女の子が死亡しました。当時21歳の母親と当時31歳の交際相手が逮捕されました。女の子は自宅で冷たい水を浴びせられたあと放置され、低体温症で亡くなりました。警察から虐待の疑いがあるとの通告を受け、児童相談所は事件の4か月前に電話による聞き取りと面会を行いましたが、その時、女の子にアザなどは確認されなかったということです。ただ、こちらもその後に事件が起きてしまいました。

こうした状況について、元児童相談所職員で心理カウンセラーの山脇由貴子さんは、「児童相談所は家の中を監視し続けることはできないので、子どもが帰りたいと言ったら、親が反省していると言えば判断が難しい」「親の同意がとれない場合は、児童養護施設に入れるとなると、家庭裁判所に申し立てを行う必要があり、1年以上時間がかかることもある」と指摘しています。

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今回の奈桜ちゃんの事件について警察は、内縁の夫の倉田容疑者と島崎容疑者の認否を明らかにしていませんが、倉田容疑者が日常的に虐待を繰り返していた可能性も視野に捜査しています。

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