牛丼にも“深夜料金”──「ダイナミックプライシング」広がるワケ 混雑緩和の効果も 賢い利用法は?【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「牛丼も…“価格変動”広がる」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●続々導入 ○○も
●日々変動…賢い利用法は?
猪子華・日本テレビ社会部記者
「混雑具合などによって価格が変わる仕組みが、あらゆる業界で広がっています。牛丼チェーンの松屋が16日から、一部の商品の値上げとともに、時間帯によって料金が変わるシステムを導入しました」
「具体的には、午後10時~翌朝5時の間に注文した商品に、深夜料金として7%前後加算するというものです。関東1都6県の一部店舗をのぞき、始まりました」
鈴江奈々アナウンサー
「深夜はどの業種も対応するのが大変ですし、タクシーも深夜料金があります。割とスッと受け入れられるような気もしますね」
猪子記者
「牛丼チェーンとしては、すき家が今年4月に初めて導入し、そこに追随した形です」
猪子記者
「価格変動制はどう導入されるのでしょうか。この仕組みは、ダイナミックプライシングと呼ばれています。商品やサービスの価格を、需要に応じて変動させるというものです」
「需要が高い時期は価格を上げて客1人あたりの利益が多くなる。反対に需要が低い時期は価格を下げることで、客1人分の利益は少ないけれど購入する人を増やすことで、売り上げ低下を抑えるという効果があります。実際に価格の変動を感じたことはありますか?」
森圭介アナウンサー
「夏休みのホテルや飛行機代は高いですよね。あれも言ってみればダイナミックプライシングだと思いますが、需要が低い時に安くなるというのは、あまりないかな…」
山崎誠アナウンサー
「高速道路などは人が多く使う時、混む時は少し料金が高いというのはイメージとしてありましたね」
猪子記者
「街の人にも聞いてみました」
主婦(30代)
「(夏休みの予定は)時期をずらして9月に旅行に。すいてて安い時に(旅行に)行こうかなと。沖縄に10泊。(時期によって価格は)10万円くらい違いましたね」
福井から東京に旅行中の2人組
「お互い休み合わせて平日に旅行しに来ました。土日に比べてやっぱり価格もだいぶ違うので、平日でなるべく安いところという感じで」
鈴江アナウンサー
「皆さんいろいろ工夫されてましたね」
猪子記者
「旅行業界では以前からなじみのある仕組みですが、新幹線でも新たに始まりました。JR九州は7月1日の利用分から、博多~熊本間の一部の割引切符を対象に、ダイナミックプライシングを導入しました」
「『九州ネット早得7』(インターネット限定・乗車日7日前までに予約)で、日にちや時間帯に応じて、大人の片道料金が3400円~4200円の間で変動します」
「実際に17日午後3時時点で、料金をサイトで調べてみました。新幹線『さくら』で、例えばお盆シーズンの8月11日の場合、お昼の午後0時1分博多発なら4200円。同じ日の夜11時1分発だと3800円で、400円の差があります」
河出奈都美アナウンサー
「家族など何人かで行ったらかなりの差額になりますし、安い料金を提示されると、昼は損したというか、(夜の方が)お得だなという気分にもなっちゃいそうですが、新幹線での取り組みは初めてですか?」
猪子記者
「繁忙期に一律で料金が高くなるなど、予め発表されていたものはありますが、予約状況などに合わせて価格を細かく変動させていくやり方は今回が初めてです」
猪子記者
「さらに、プロ野球の観戦チケットです。千葉ロッテの場合、試合の日程や過去の実績、天候などのデータを基に需要を予測して価格を変動する仕組みを取り入れています。この仕組みによって、例えば普段は高いS席がA席よりも安くなる可能性もあるそうです」
森アナウンサー
「過去の実績というのは、人気の対戦カードだったらお客さんが集まるから値段が変わるかもしれない、ということですよね」
猪子記者
「お客さんの動向が違うということですね」
猪子記者
「価格の変動制は高速道路でも試験的に導入されています。千葉・木更津市と神奈川・川崎市を結ぶ東京湾アクアラインで、去年7月から国土交通省などが時間帯によって通行料金を変える実験を行っています」
「土日祝日は時間帯ごとに3つの料金が設定されています。木更津JCT~川崎浮島JCTの上り線をETCの普通車で利用した場合、600円・800円・1200円と異なっています」
「アクアラインの場合は、民間企業と違って収益ではなく交通量を分散させるという狙いがあります。今年1月に発表された千葉県の中間報告によると、実験前は最大52分かかっていたところが、実験中は最大41分に。11分短縮されたということです」
山崎アナウンサー
「実験の中では混雑が少し緩和されたということなんですね。最近電車でも、通勤通学の時間帯を避けてピークの時間をずらすとポイントがたまるなど、定期代が安くなるということが始まっているじゃないですか」
「こうした道路や電車もそうですが、値段以外にも、実用化されたことによって混雑や渋滞が緩和されていくというメリットがありますよね」
鈴江アナウンサー
「利用者にとってもそういうメリットはありますよね」
猪子記者
「物やサービスの価格戦略に詳しい、プライシングスタジオ代表取締役CEO高橋嘉尋さんに聞きました。そもそもダイナミックプライシングがさまざまな業種に広がったきっかけは、新型コロナウイルスによる混雑緩和の動きだったそうです」
「さまざまな業種の方が興味を持つきっかけになり、消費者の側も混雑緩和が必要という認識が当時広がっていたために、価格変動が受け入れられやすいという状況が生まれていたということです」
「消費者としてどういう点に注意するべきなのかというと、『この値段で満足を得られるサービス・物なのかよく確認する』ということです」
「ホテルなどでは、価格の決定を人ではなくシステムに任せている場合もあります。周辺のホテルが満室になると需要が高まったと判断され、いきなり価格が高騰し、そのまま販売されてしまうケースもあり得るということです」
「そのため日頃から価格の動きを調べて把握しておくことが大事だといいます。またネットショッピングでは、他のサイトでも同じ物を売っていないかを、普段使っているサイト以外でも調べることが有効だそうです」
鈴江アナウンサー
「ネットだと比較は割と容易にできますので、上手に利用したいと思います。よりお得に利用するためには、何か参考になる情報はあるんでしょうか?」
猪子記者
「それぞれの商品によって価格の変動の仕方は違うそうですが、一般的にはチケットが販売された直後や利用の直前のタイミングは、比較的高くなりやすい傾向があるそうです」
「ダイナミックプライシングによって値段が複雑で分かりにくく感じる時もあるかもしれませんが、情報収集で賢くお得に活用していきたいですね」
(2024年7月17日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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