タクシー“初乗り410円”本当にお得?
タクシーの初乗り運賃を410円にする実証実験が、都内で始まった。どんな狙いがあるのだろうか。中央大学法科大学院・野村修也教授が解説する。
■国交省による実証実験の概要
【調査内容】現行の初乗り(2キロで730円)より、距離も運賃も半分程度にして、年々減少傾向にあるタクシー利用者が増えるかどうか検証。
【運賃】約1キロまでは410円。その後は237メートルごとに80円ずつ上がる。
【場所】東京都内の新橋駅東口や浅草駅前など4か所。通常料金とは別の乗り場を設けている。
【期間】9月15日まで行われ、その結果も踏まえ、タクシー料金改定の審査が進められる。
■実証実験を行った背景は?
日本のタクシーの初乗り料金が高いと感じている人が多い。海外に比べても、日本の初乗り料金は高く、外国人の中には「ちょっと乗りにくい」という声もある。さらに高齢者の方のように、近くに乗っていきたい、短い距離で利用したいという人から見ると、割高感がある。
■タクシー料金は具体的にどう変わる?
これまでの初乗り料金は、2キロで730円。実証実験での初乗り料金は、約1キロで410円に設定し、その後は小刻みに80円ずつ上げていくので、約2キロのところで、730円となり、料金が同じになる。
ただ、これよりも長い距離を乗っていくと、例えば約20キロ(東京駅から吉祥寺駅付近まで)となると、従来だと6580円で済んだところが、実証実験では6810円になり、今までより割高になる。
今回の実証実験のポイントは、これが本当に「便利」と感じるのかどうかにある。高齢者や妊婦の方などが、いわゆる“ちょい乗り”を便利と感じるかどうか、さらに、タクシー事業の収益性との関係を踏まえて、今後、検証されていくことになる。