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国内禁止の不妊治療実施 専門医認定を剥奪

2016年11月2日 22:00

 日本生殖医学会は、不妊治療の一種で国内では禁止されている「着床前スクリーニング(=PGS)」を実施していた静岡県浜松市のクリニックの医師を処分した。

 着床前スクリーニングは、体外受精した受精卵に遺伝子や染色体の異常がないかを調べて、異常のない受精卵だけを子宮に戻す不妊治療で使われる技術。流産の可能性を減らすことができる一方で、命の選別につながるとの批判もあり、日本産科婦人科学会は指針で禁止している。

 生殖医療専門医の資格を認定している日本生殖医学会は2日、浜松市内の不妊治療クリニックが、禁止されているPGSを実施していたとして、このクリニックの医師に対し専門医の認定を剥奪する処分を下した。

 専門医の認定を剥奪した理由について、学会は、『生殖医療専門医として広い知識と高い倫理性が求められるにもかかわらず、日本産科婦人科学会の見解を無視したことは非常に重い』と指摘している。

 専門医の認定が剥奪されたことでこの医師にかかっている患者が今後、自治体から不妊治療費の助成を受けられなくなる可能性があるという。

 日本生殖医学会が認定している生殖医療専門医は全国に約600人いる。