【どう思う?】「公共の場で授乳」が議論に
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先日、ある新聞の投書欄に、23歳の女性による「店内でいきなり授乳に戸惑う」との投書が寄せられた。「ケープなどで隠しながら授乳する人が多いが、それでも目のやり場に困る」という内容で、この投書をきっかけに公共の場での授乳をどう思うか議論が起きている。
■公共の場での授乳に理解“77%”
今回の議論を受け、育児・生活情報サイト「パピマミ」が先月、飲食店での授乳についてどう思うか聞いたところ、一番多かったのは「胸元を隠す授乳ケープをすればOK」という意見で46%、このほか「子どもの状況次第でやむを得ない」「何も問題ない」といった、公共の場での授乳に理解を示す意見は計77%に上った。
一方、残りの人からは「どんな状況でも授乳室ですべき」「人目は避けるべき」といった反対意見が聞かれた。
実際、アンケートでは「気を使っていても、授乳間隔が短い赤ちゃんは突然飲みたがることがある」「上の子を連れて授乳室まで移動できない」など、子どもを連れての外出に苦労する切実な声が聞かれた。
そのため、頭からすっぽりかぶって胸元を隠す様々なタイプの授乳ケープや、胸の横にスリットが入った授乳服なども最近では多く出ている。
■法律で「公共の場で授乳可」
こうした工夫は増えてきているが、海外では堂々と「公共の場で授乳しても良い」と法律で定めているところもある。
台湾では7年前に、「公共の場での授乳を禁止したり妨害したりしてはいけない」との法律が施行され、違反すると最大約11万円の罰金が科せられるという。
また、アメリカでも1州を除く全州で、公共の場での授乳を保護する法律がある。
■授乳に寛容だった日本人
ただ、私たち日本人も、かつては人前での授乳にかなり寛容だった。江戸時代の絵を見ると、街中を歩く女性が授乳している様子が描かれている。
岡山大学大学院の沢山美果子客員研究員によると、江戸時代は、授乳は隠すものではなく、道ばたでも畑でも、子どもが飲みたがれば与えるのが自然だったという。それが明治時代、人前で裸になることを禁止する条例が各地でできると変化していったという。
そして、「今は少子化などで外で授乳する姿を見かける機会が減り、今回のような議論が起きているのでは」と指摘している。
■やさしい眼差(まなざ)しで
授乳をテーマにした写真を撮っているアメリカの女性写真家・Ivette Ivensさんは、様々な女性たちの授乳シーンを捉えた写真を通じ、「授乳は赤ちゃんとお母さんにとっては生活の一部なんだ」と伝えたいという。
街で授乳しているお母さんを見かけたら周囲はそっと見守って、お母さんも周囲の人を困らせないよう配慮するやさしい眼差しを互いに持ちたいものだ。