なぜ起こる?「太陽フレア」そのメカニズム
太陽の表面で起きた大規模な爆発現象「太陽フレア」に伴う衝撃波が8日午前7時過ぎ、アメリカの人工衛星によって観測された。
■フレアとは
「太陽フレア」の「フレア」とは、「メラメラ燃える」という意味で、「太陽フレア」は太陽の黒点と大きな関係がある。
黒点は太陽の活動が活発になると増える。太陽の表面温度が約6000℃なのに対し、黒点の温度は約4000℃と周りの部分よりも温度が低いため、黒く見える。
黒点は磁力が強いという特徴もある。その磁力の影響で黒点の周りは時々、「太陽フレア」と呼ばれる爆発が起こる。今回の爆発は、通常の1000倍以上の規模だったことから、注目されている。
この爆発によって強力なX線や紫外線のほか、「コロナガス」と呼ばれる電気を帯びた高エネルギーのガスの固まりが放出される。こうしたコロナガスなどが今回、地球まで届いてきたということだ。
ただし、地球には太陽フレアの発生によって放出される「コロナガス」などから、地表を守る仕組みがある。地球はよく一つの磁石に例えられるが、その磁場などがバリアとなっている。
しかし、爆発の規模が大きいと磁場が乱れるなどして、バリアが弱まり、さまざまな影響が懸念されている。
――具体的にどんなことが起こるのか。
情報通信研究機構の石井さんによると、まず、人工衛星が故障するといった影響が考えられる。人工衛星が静電気を帯びたような状態になって、最悪はショートする可能性があり、中でもGPS衛星に影響が出ると、スマホの位置情報で誤差が大きくなるといったこともあるかもしれない。
そして、地上では電波を使う通信や無線に影響が出る可能性がある。航空無線や船舶無線など、長距離の通信がつながりにくいといった障害が起こるかもしれないという。
万が一、飛行機と管制塔との通信にトラブルが生じるようなことがあったら大変なことから警戒されている。一方で、可能性は低いということだが、今回も北海道でオーロラが見られるかもしれない。
――こうしたリスクに対し、何か対策はとられているのか。
例えば、先月打ち上げられたばかりの人工衛星「みちびき3号機」について、運用している内閣府は、監視体制を強化すると共に安全対策も準備している。
機器が動いている時に「コロナガス」などが当たると、故障するリスクが高いため、省エネモードに切り替え、機器を動かさないようにすることも検討しているという。
同時に太陽の活動を観測し続けることも大事だ。実は太陽の観測には、日本の人工衛星も活躍している。
2006年に打ち上げられた太陽観測衛星「ひので」は、世界最高レベルの3つの望遠鏡が備えられていて、太陽の磁場や温度などの変化を高い精度で観測している。
宇宙の仕組みはまだまだ解明されていないことも多いから、引き続き関心を持って見ていきたい。