毎年漂着“木造船”自治体悩ます問題とは…
いま、日本の沿岸に北朝鮮からとみられる木造船が次々と漂着している。船が漂着した地元では、頭を悩ませるある問題が起きていた。
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1日朝、青森県佐井村にある海岸を訪れると、船が打ち上げられていた。全長約12メートル、幅約4メートルの船で、さらに近づいてみると、船はほとんど木でできていて、その船底はボロボロにくずれてしまっている。船体に貼られていた青いシートもはがれていた。
また、船体の上部には「8・9月は船事故防止対策月間だ」と書かれたハングル。束になった釣り針のようなものも確認できた。
先月27日に漂着したというこの船。漂流する様子を目撃した人は、当時の船の状況について─
佐井定期観光 島野慶司事務長「ここから水が入っていたんで、こういう状態で、ここだけが上に水面に、もう海なんで。(Q:半分からそれ以上は?)そう、水に入っている状態で」
目撃者によると、最初に船を確認したのは海岸から西に約2キロ離れた沖合。その後、2時間ほどで海岸に漂着したという。
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こうしたケースは他にもあり、先月28日には、北海道の松前沖で、北朝鮮国籍の乗組員10人が乗った漁船が漂流していた。こうした朝鮮半島から流れ着いたとみられる木造船は、先月だけで28隻も確認されている。
各地で相次ぐ北朝鮮籍とみられる木造船の漂着。実はこの漂流船、自治体を困らせるある問題が起きていた。
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青森県佐井村産業建設課の畠中清孝課長は─
畠中課長「結構な額がかかることになります。大きい自治体でもないので、厳しいですよね」「移動に関しては、あくまでも自治体。引き揚げの場合も、クレーンを使いますと、20万円とか経費が別途かかる。それも村負担ですので、ちょっと厳しいです」
こうした漂流船は、持ち主が現れるまで最大6か月保管する義務が、市町村にはある。船の解体の費用には国や県から補助金が出るケースが大半だが、引き揚げや保管などの費用は市町村が負担しなければならないのだ。
佐井村では2015年には2隻、3年前にも1隻と、ここ数年、毎年1隻は漂着していて、2隻来た2015年は約110万円を負担したという。
今後も懸念される木造船の漂着。自治体にとってはこうした金銭的な負担に頭を悩ませそうだ。